ニッケイ新聞 2013年8月14日
連邦政府は12日、16日に応札、9月に開札の予定だったリオ〜サンパウロ市〜カンピーナス市間の高速鉄道(TAV)の入札の無期限延期を発表した。13日付伯字紙が報じている。
12日、セーザル・ボルジェス運輸相は「入札予定の企業と話し合いを重ねた末、入札に関心のある企業が一つしかないことが判明し、延期を決めた」と語った。
当初この入札には三つのコンソーシアムの参加が予想されていたが、レンフェ社とタルゴ社を中心としたスペインのコンソーシアムが最低限60日の延期を申し入れ、シーメンスを中心としたドイツのコンソーシアムも1年の延期を望んでいた。これにより、アルストンを中心としたフランスのコンソーシアムのみが関心を示す形となったが、ジウマ大統領は競合性のない入札を嫌っており、今回の入札は見送られた。
TAVの技術提供と運営権をめぐる入札は16日に応札の予定だった。TAVは第2次ルーラ政権時の2008年に経済活性化計画(PAC)の一環として計画され、2010年11月にまず入札が予定されたが、韓国のコンソーシアムしか興味を示さなかったために延期された。また、11年4月は参加する建設会社の定義をめぐって延期となっており、今回が3度目の延期となる。
ボルジェス運輸相によれば、次の入札の日程は「未定で、最低でも1年先」と話した。また、今回の延期は「(サンパウロ市やブラジリアなどでの)カルテル・スキャンダルが理由ではない」と語った。シーメンスとアルストンはこのカルテル問題の渦中にある企業だ。
また、フォーリャ紙が政府筋から聞いた話だと、この延期には、6月に起きた全国規模でのデモでの国民の不満に応える目的もあったとされる。デモの際に国民が主張していた地下鉄をはじめとした交通網の改善がないままに、約350億レアルを費やすと見られていた今回の入札を行うのは決して得策とは言えず、強行すればジウマ大統領の14年の大統領選にも影響しかねないとの見方もあったという。
だが、今回の延期決定後も、ジウマ大統領の中でTAVがインフラ改造計画の中心にあることに変わりはなく、2015年の工事開始、20年操業開始の意図に変わりはないという。政府側は、今回の延期により、韓国や日本などのコンソーシアムが興味を持つことに期待しているという。
TAVはリオ市のバロン・デ・マウア駅(現レオポルジーナ駅)からサンパウロ州カンピーナス市のラモス・デ・アゼヴェド・ターミナルまでの全長511キロの鉄道で、サンパウロ市やグアルーリョス空港、サンジョゼ・ドス・カンポス、アパレシーダ、リオのガレオン空港などを経由する。サンパウロ市の経由駅候補はCPTM7号線のアグア・ブランカ駅で、サンパウロ市地下鉄の主要中継点のひとつであるバラ・フンダ駅の隣となる。
現在、リオ〜サンパウロ市間は飛行機で50分、高速バスで6時間となっているが、TAVだと1時間33分になる予定だ。