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教師の欠勤目立つサンパウロ市=3年間で約20%増加=労働環境改善は国の問題

ニッケイ新聞 2013年8月14日

 サンパウロ市の市立校教師の年間欠勤日数は1人当たり28日に上り、09〜12年の3年間で20%増えたと12日付エスタード紙が報じた。
 12年の市立校教師6万4千人の欠勤日数は計180万2783日で、1人平均28日。11年の187万2409日より3・7%、10年の183万5690日と比べて1・8%減ったが、09年の150万6779日より19・6%増えている。また、1人平均28日という欠勤日数は、年間就業日(200日)の14%に相当し、生徒達への影響は大きい。
 欠勤の49・5%は、医者の診断書付の場合で計89万3531日。就業中の事故に伴う欠勤17万6671日、その他の証明書がある欠勤22万1824日と、何らかの証明書や診断書が出るケースが実に129万2026日に上っている。
 それ以外は、冠婚葬祭その他の有給扱いのものが39万9487日、何らかの正当な理由があるが5万7420日で、無断欠勤も5万3850日あった。無断欠勤は09年から12年に68%増えており、有給扱いの欠勤も74%増えている。
 公立校の教師には、有給休暇が10日、正当な理由がある場合の欠勤が6日まで認められるが、12年の場合、1人当たりの平均は有給6日、正当な理由あり9日、無断欠勤8日となっている。
 市立校教師の組合長であるクラウジオ・フォンセッカさんは、「労働環境が改善されない限り、学校は肉体や精神を病む場となり、診断書などがとれない時は、無断欠勤扱いとされる」と釈明。サンパウロ市内の市立校と州立校を掛け持ちで教える教師は1万1千人おり、私立校との掛け持ちやサンパウロ市周辺の市で教える教師も入れれば、兼任教師は更に増える。
 スザノ市在住で、同市内の州立校とサンパウロ市東部の保育所で働くフランクリン・ナシメントさん(28)も、片方の学校で特別な行事があったりすれば、もう一方を欠勤せざるを得なくなる一例だ。
 医師の診断書付の欠勤は09年の61%より減少したが、ストレスや疲労、精神的な病気による欠勤は職業病といえる。また、就労中の事故による欠勤は3年間で43%増え、全体の10%を占めるようになっている。
 13日付フォーリャ紙によると、サンパウロ市は、週40時間の労働時間中、3分の1は授業の準備などのための教室外勤務とするという基準が守られていない11州都の一つ。週40時間労働の場合の最低給与1567レアルという基準が守られていない州都はマカバの1345・60レアルだけだが、教師の労働環境改善は国全体の教育レベル向上のためにも不可欠だ。

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