ニッケイ新聞 2013年8月15日
【既報関連】サンパウロ市北部で起きた軍警一家惨殺事件は、13歳少年が、両親と祖母、祖母の妹を殺害した後に自殺と報じられていたが、真犯人は別にいるのではとの疑問が日毎に深まっている。
事件の発覚は5日夕方で、軍警巡回機動隊(ROTA)のルイス・マルセロ・ペッセギーニ軍曹(40)と妻で軍警18部隊のアンドレイア・ボヴォ・ペッセギーニ伍長(36)、13歳少年、離れにいたアンドレイアさんの母親のベネジッタさん(65)と妹のベルナルデッテさん(55)が、頭部に1発ずつ浴びた遺体が見つかった。
また、防犯カメラの映像に、5日未明(1時20分頃)に学校のそばにアンドレイアさんの車が停められ、朝6時20分頃、13歳少年が車から降りて学校に向かう様子が記録されていた。
担当市警は、学友が少年は「将来は殺し屋になりたい。両親を殺して家出し、人気のない所に住む」と言っていたと証言した事や、両親が少年に運転を教えていたとの隣人の証言などから、少年が両親らを殺した後、自殺という見方が最有力と6日の内に発表した。
ところが、8〜14日付伯字紙には、この見解を覆すような疑問が次々に出てきている。
最初は、18部隊司令官のヴァギネル・ディマス中佐が7日に、アンドレイアさんが現金自動預け払い機(ATM)強盗に関与している軍警がいると告発していたと発言したのに、8日はその発言を否定した事だ。告発はファビオ・パゴノット司令官の時の事で、内部調査も行われたが、パゴノット氏はその後第9部隊に転任となり、軍警への処罰はなかった。この件では12日、退役中将のオリンピオ・ゴメス州議が実際に問題の告発がされていたと指摘。ディマス氏は同日、18部隊司令官を解任された。
祖母達が薬を飲んで眠らされていた可能性は来週出る分析結果待ち、鑑識結果も未発表だが、ルイス軍曹とその他の4人の死亡推定時刻が約10時間違うとの情報も、市警見解と合致しない。
また、親族らが、鑑識班到着前に軍警数十人が現場にいたと証言。州保安局も13日、現場の状況が作りかえられていた可能性を示す文書を発表している。
更に、父親が少年に射撃を教え、母親が運転を教えたと証言したのは第1発見者の軍警。不審な人物が壁を乗り越えて出て行き、「皆、死んでいる」と言いながら戻ってきたとの証言もある。専門家は10代少年が家族の1人を殺して自殺する例は殺人事件の約2%、複数の家族を殺して自殺する可能性は1%未満としており、不治の病を抱える少年の通院時は4人の誰かが付き添い、関係も良好だったなど、少年の犯行を否定するような証言も続いている。