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リオ=行方不明の青年の遺体発見=腹立てた住民がバスを焼討ち

ニッケイ新聞 2013年8月16日

 リオデジャネイロ市北部のペーニャ地区にあるファヴェーラ(貧民窟)パルケ・プロレタリオで13日、12日から行方不明になっていた青年が遺体となって発見され、住民らが警察車両1台に投石、バス3台に放火するという事件が起きた。
 死亡したのは、ラエルシオ・イラリオ・ダ・ルス・ネットさん(17)で、12日午後6時頃、自宅のある通りの店の女性店主と話したのを最後に消息が途絶えた。
 青年が帰宅しないのを不審に思った家族は捜索願も出したが、13日夜8時半頃、若い男性が6番街にある一軒の家の扉を叩いた。
 その家の住人によると「見た事もない男性が来て、屋上に死体があると言ったきり姿を消した」という事で、「1階は勤め先の奥さん、2階には私と父、妹、甥が住んでいるけど、屋上は使ってない」「でも、そんな事を言われて上がってみたら、本当に死体があったの」という。
 ラエルシオさんは離婚後の母親と二人暮しで、知らせを聞いてかけつけた父親は、「遺体には銃痕とか刺し傷こそなかったが、首筋に内出血した跡があり、蹴られたような形跡もあった」とし、警察がやったに違いないと決め付けた。
 青年が遺体で発見されたというニュースはファヴェーラを駆け巡り、警察の仕業と信じた住民達は警察車両1台に投石、バス3台を焼討した。バスを焼き尽くした火は電線も焼いたため、一部地域では停電も起きた。
 警察は、ペーニャ地区以外の部署からも応援を頼んで警備を強化。14日未明は同地区に出入りする道路では検問も敷かれ、地域の保育所や学校は大半が14日の授業を中止。路線バスも危険な所を迂回して運行した。
 ペーニャ地区にはいくつものファヴェーラがあり、隣接するアレモン地区と共に麻薬密売者らが支配する場所として知られていたが、リオ州保安局が市警、軍警、連邦警察に海軍の戦車などを導入して平定。2012年8月28日には軍警察の治安維持部隊(UPP)も設置されたが、その後も麻薬密売者が暗躍。UPPが設置された別の地域で、UPP警官が連行した住民が行方不明になるという事件が起き、いまだ解決を見ていないため、今回の事件でも住民はUPPの警官が関与したと判断したようだ。
 14日夜の時点では、ラエルシオさんを殺害した犯人の目星はついていないが、警察はその遺体には暴行されたりした痕はなかったと発表している。(15日付エスタード紙などより)