ニッケイ新聞 2013年8月16日
メンサロン事件の上告公判が14日からはじまった。初日の14日は4人の被告の上告を全面却下したが、それ以上に注目を集めたのは、今回初めてメンサロン裁判に関わる新判事のルイス・ロベルト・バローゾ氏が「メンサロンはブラジル史上最大のスキャンダルではない」と発言したことだった。15日付伯字紙が報じている。
この裁判は昨年の8〜12月に行われたメンサロン裁判で有罪となった25人の被告の上告に関するもので、初日は、4人の上告を全面却下、別の被告は犯罪組織形成の容疑が免罪となった。
上告を却下された1人は、収賄とマネー・ロンダリングで計7年10カ月の有罪判決を受けた現職下院議員のヴァルデマル・コスタ・ネット(共和党・PR)被告だ。同被告は収賄疑惑での無罪を訴えたが、受け入れられなかった。最高裁はかねてから「判事投票で接戦となった(無罪票を4票獲得)もの以外の上告は認めない」という姿勢を打ち出しており、同被告はそれに該当していなかった。
また、仲介業者ナチマール社のカルロス・アルベルト・クアグリア被告は、犯罪組織形成に関する罪が無罪となり、マネー・ロンダリングのみの有罪となった。
また、25人の被告のうち16人の弁護を担当する弁護団は、ジョアキン・バルボーザ長官が上告裁判での報告担当を外れることなどを求めた五つの質問状を送っていたが、同長官が個別審議を始める前に全体で検討した結果、却下された。
14日の審議で注目を集めたのは、6月26日に就任したバローゾ判事の発言だった。同判事はメンサロン事件以上の金が動いた例を挙げ、メンサロン事件は「ブラジル史上最大ではない」と、これまでのメンサロン事件への言及を否定。メンサロン事件は「検察や連邦警察、そしてマスコミが最も調査した事件」だが、事件そのものは「この国の伝統」とした。同判事は上院での諮問の際も同裁判に関して「判決に感情が入りこんでいる」と牽制していた。
バローゾ判事はさらに「〃労働者党(PT)の汚職〃も〃民主社会党(PSDB)の汚職〃も〃民主運動党(PMDB)の汚職〃もない。汚職はそれ自体が悪であって、それを政治の道具にしてはならない」としたうえで、政治改革の必要性を説いた。同判事によると、メンサロン事件は選挙や政治資金に関するシステムの不備によって起きたもので、「政治改革が行われない限り、こうした事件はまた起こる」とした。
バローゾ判事の発言は、メンサロン事件が2005年に発覚した際のPTの見解に似ていると15日付フォーリャ紙は指摘している。
メンサロン上告裁判では、ジョゼ・ジェノイノ下院議員らの現職議員に関し、「議員罷免とするのは最高裁での有罪判決時か、議会での投票か」という問題が大きな争点の一つとなっているが、バローゾ氏は8日に行われた別の上院議員の裁判で「議員罷免を決めるのは議会」に投票、メンサロン裁判が12月に出した見解と異なる見解を示していた。