ニッケイ新聞 2013年8月17日
サンパウロ市やリオにおけるデモで、「ブラック・ブロックス」と呼ばれる顔を隠した集団が暴徒化する現象が続いている。15、16日付フォーリャ紙などが報じている。
無国家社会や無政府社会を推進するアナキズム信奉者らが黒い服で身を包み、顔を隠して暴力的な抗議行動を行う「ブラック・ブロックス」は欧米などでも見受けられ、ブラジルでも6月の全国規模でのデモ以来、存在が目立ちはじめた。
ブラック・ブロックスは約20州で見られたとされ、7、8月のデモでもその存在が報じられていたが、最近では、抗議内容そのものより、商店のショーウインドウや銀行の現金自動預け払い機を荒らすなどの犯罪行為に関する報道の方が目立って来ていた。
その行動は次第にエスカレートしている。サンパウロ市では14日、ブラック・ブロックスによる暴動が平和的なデモを悪化させた。同日は「無賃乗車運動(MPL)」がサンパウロ市中央部で非暴力的なデモを行い、セー広場で解散。これを待ち受け、ブラック・ブロックスの一団が一部のデモ参加者をいざなって市議会に向かい、その一部は市議会内にも乱入した。また、市議会前では少なくとも四つの爆弾を撒き散らし、軍警と揉み合いとなった。
ブラック・ブロックスの一団はその後、軍警特殊部隊との衝突を避けてリベルダーデ地区に向かい、イタウー銀行や化粧品店「イケザキ」などを襲った。この日の行為には、無政府主義を唱えるパンク・ロック集団や壁への落書き行為を行う集団なども合流していた。参加者の一人は「民主主義は存在しない。ショッピングも銀行も嘘つきだ」と語っている。
なお、この日、ブラック・ブロックスと軍警との喧騒の場に居合わせた66歳の女性が心停止を起こし、急死した。喧騒の際は軍警も催涙ガスを使用していた。
15日には、「警察の暴力反対」を唱えてデモを行っていた30人ほどのブラック・ブロックスが、中央部ルーズベルト広場から州議会に行こうとして、道路沿いの壁やバスに「民衆に力を」と落書きしながらバンデイラ・ターミナルへ。金も払わず乗り込んできた集団を見た運転手と車掌は一旦下車したが、他の乗客を巻き込まないため、「ジャルジン・ルゾ」と書かれた表示を「特別バス」に換えて運転し、メンバーらを目的地まで連れて行ったという。
また、リオ南部でも13〜15日に3日連続して銀行の現金自動預け払い機やバス停が荒らされるなどの被害が起きているが、ここでも顔を隠したブラック・ブロックスたちが暴れる姿が目撃されている。