ニッケイ新聞 2013年8月20日
サンパウロ州での離婚件数が、2011年を境に減少し始めている。
同州内の離婚件数は、2007年6358件、08年7403件、09年7693件と徐々に増えていたが、2010年は、1万3700件に急増、11年には1万7534件に達した。
10年からの急増は、同年の法改正が原因だ。従来は裁判所で離婚を望む理由を説明、2年以上別居していた事を証明した上、今後も一緒に暮らす意思はない事を明らかにした夫婦に対してのみ宣言されていた離婚が、別居期間がなくても認められるようになった。
離婚までの手続きが簡素化され、冷却期間ともなる別居生活が必要なくなれば、衝動的な離婚が増えると懸念されていたが、12年の離婚件数は年間1万6537件に減少。それでも1日45件の離婚が成立した事になるが、専門家は今年も減少傾向が続くと見ている。
11年に離婚が成立した英語教師のシャタリーネ・コーウェルさん(46)は、20年寄り添った夫のルイさん(47)との間に10代の息子2人をもうけた。だが、残る生涯を完全に別々の存在として生きるべきかを決めかねて当人たちが別居を希望したのに、「関係を継続するか否かは他人が判断する事ではなく、本人達が決める事」と考える裁判官が「別居は認めない」と言い出したために、結局、離婚が決まったという。
ブラジルの結婚は、証人らも一緒に登記所へ行き、婚姻届にサインする結婚(市民婚)と教会などで行う宗教婚の2種類がある。2010年の国勢調査で見ると、登記所と教会などの2カ所で結婚が42・9%(2000年は49・4%、以下同)、登記所にも届けてない同居が36・4%(28・6%)、登記所での結婚のみ17・2%(17・5%)、教会などでの結婚のみ3・4%(4・4%)となっている。
2000年の離婚率は1・7%だったが、2010年は3・1%とほぼ倍増。その一方、市民婚も宗教婚もしていない同居夫婦が増えている。
離婚率が高い州は、リオデジャネイロ州とマット・グロッソ州の4・1%や、連邦直轄区の4・2%。離婚率が最も低いのはマラニョンの1・2%だった。
(18日付エスタード紙ならびに2012年4月に発表された2010年の国勢調査の結果より)