ニッケイ新聞 2013年8月20日
このところのドル高レアル安が一段と進み、16日は中銀の介入にもかかわらず、1ドル=2・40レアルに接近、ここ4年の最安値を記録した。17日付伯時紙が報じている。
16日の為替市場ではレアル安が進み、2011年11月23日以来となる、2・09%のドル急騰が見られた。これに伴い、15日は1ドル=2・350レアルだった終値は、16日は2・392レアルで終了した。この値は2009年3月3日に記録した1ドル=2・41レアル以来のドル高となった。
中央銀行は先物ドルを売るなどしてドル高抑制を行ったが、歯止めはかからず、1週で5・28%のドル高となった。
このところのドル高レアル安は、ブラジルの貿易の主力である一次産品の価格が下落したことも原因だが、米国の景気が回復する見込みが強まったことが大きい。米国の経済成長への期待が高まったことで、同国の金融緩和策は縮小する見込みで、10年ものの米国国債の金利はこの1週間で9%上昇。1年前は年率1・8%だった金利は2・8%に上がった。
米国の金融緩和縮小の動きの煽りは新興国全体が受けているが、16日にもっとも価値を下げたのはレアルだ。フォーリャ紙によると、新興国20カ国中、レアルは年間13・75%価値を下げ、15・76%下がった南アフリカ共和国のランドに続くワースト2位を記録している。
このドル急騰を受け、今年の経済基本金利(Selic)は、今後も3回連続で0・5%ずつ上昇し、10%を超えるのではないかとの予測も立ち始めている。
ギド・マンテガ財務相は、今回のドル高を「連邦準備制度理事会(米国の中央銀行)によって引き起こされたもの」とし、「ドルは新しい段階に突入した」と語った。同相はこのドル高により、「自動車などの工業の輸出部門などは恩恵を受け、国際的な競争力も高まるだろう」と分析している。自動車部門は今年上半期、国外での売上を20%伸ばしている。
また同相は「市場では1ドル=2・70レアルまで上がりうる、という説もあるほどだから驚くものでもない」と語ったが、「理想は2・30レアルだ」とし、「これで決まったわけではない。ドルの高騰が落ち着くのを待ちたい」と語った。
ドル高は週の明けた19日にも続き、ブラジリア時間の12時30分現在で1ドル=2・406レアルとなっている。