ニッケイ新聞 2013年8月21日
「医療資源のない場所で医学の原点を学ぶ」ことを目的に、慶應義塾大学医学部・国際医学研究会による『第36次派遣団』が当地を訪れ、インディオの部落やアマゾンなどで医療活動に励んでいる。
今回の参加者は、6回生の松井一晃(学生責任者)、高見澤重賢、金森洋樹さんと引率者の黒田達夫教授。先月中旬に日本を発ち、メキシコ、ペルーを経て同月27日にブラジル入りした。約1カ月半の実習計画は、3人が自分たちの関心に応じて組んだという。当地では、サンパウロ州立大学(UNESP)の肥田ミルトン教授が初回からコーディネーターを務めている。
初めにクイアバ市にすむシャバンテ族の部落を訪問後、フォルタレーザ市の小学校で約500人の生徒の健康診断を行った。
サンパウロ市では、サンタ・カーザ医科大学の学生と「日伯医学生会議」を開き、両国の医療事情について意見交換。マナウス市では、巡回診療船に同乗し、アマゾン流域の無医村地帯で診療活動を行う。
松井さん(23、東京)は「ブラジルでは5、6年生のうちから、学生が医療チームの一員として実習していた」と日本の制度との違いに言及。
高見澤さん(23、横浜)は、子どもの純粋さに触れ、「物は少ないが心は豊かな国」との印象を語った。
金森さん(24、愛知)は結核の罹患率に着目し、「罹患率が高いのは、結核にかかっても働き続けないといけない貧困や、国の制度に原因があると分かった」と話し、それぞれ実習の収穫に充実の表情を見せていた。