ニッケイ新聞 2013年8月22日
ネット通販大手のアマゾンに対抗し、通信販売用の自社サイトを開設する大型小売店が出てきている。これらの通販サイトは専門店と提携して自社商品以外の品も扱い、ショッピング的な性格を帯びてきている。
ブラジルで通販用サイトを開設している大型小売店は、エストラ、ウォルマート、マガジーネ・ルイーザ、サライヴァ、楽天、メルカード・リヴレ、ブスカペの少なくとも7社。どの会社のサイトも専門店と提携し、自社商品以外の品も提供している。
専門店と提携した大型小売店はサイト上で提供する商品数が増える上、輸送コストが増える事を心配する必要もない。専門店側も、大型小売店の名前を借りて自社製品をアピールする場所を確保出来、一挙両得だ。
電子取引に関するコンサルタントのペドロ・グアスティ氏は、「アマゾンがブラジルに進出しようという動きは昨年本格化した。通販用の自社サイト開設は大型小売店の自己防衛策だ」という。
アマゾンは昨年12月にブラジル国内にも進出したが、大型小売店の攻勢もあり、活動は電子本とその読み取り機であるKindleの販売だけに限定されている。
大型小売店による通信販売はまだ日が浅いが、2012年の販売実績は65億レアルで、通常の店舗での売上(225億レアル)の29%相当額に達している。
ネット販売最古参のメルカード・リヴレは知名度もそれなりに高いが、同社が現在目指しているのは、個人や法人を含む利用者9020万人の通販網を統合し、数百から数千に上る他社商品も扱えるようにする事だ。
2011年に別の通販網に統合したサライヴァも、提携企業15社の商品やサービス4万点をサイト上で提供。マガジーネ・ルイーザも2010年から7社と提携、化粧品や香水、時計、サプリメント、タイヤまで扱っている。ネット通販専門の楽天は500社と提携している。エストラとウォルマートも今年前半、販売網を拡大した。
だが、通販拡大と共に増えているのは消費者からの苦情だ。カリーネ・モンチーリャさんは、エストラのサイトで2歳の娘用の紙オムツを購入したが、エストラが扱う商品はすぐに届いたのに、提携店のベベ・ストアの商品は2カ月経ってやっと到着。「提携店に品がなかったとしても最終責任者はエストラ」と苦情を申し入れたところ、双方の企業がミスを認め、改善を約束したという。(19日付エスタード紙より)