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デモ隊乱入で下院審議中断=抗議の中心はアト・メジコ

ニッケイ新聞 2013年8月22日

 大統領府は20日、ジウマ大統領が一部に拒否権を行使した法案「アト・メジコ(Ato Medico)」の修正議案を上院に提出、早急な審議を求めたが、同日夜、大統領の拒否権行使への賛成派と反対派に分かれた医療従事者らが下院に乱入する騒ぎが起きた。21日付フォーリャ、エスタード両紙が報じた。
 賛成派は黒服、反対派は白衣に身を包み、警備の軍警の催涙ガスによる攻撃を振り切って議会に乱入。下院の審議は約30分中断した。
 「アト・メジコ」は医師以外の医療従事者の医療行為を制限するが、大統領は他の医療従事者による患者への対応が制限されることを恐れ、診断や治療の指示を医師のみに限定するという項目を廃止。手術の指示と実施、麻酔の処方、組織に触れたり挿入したりする必要のある医療行為(procedimento invasivo)を伴う診断や治療、美容形成、生検、内視鏡検査などは医師に限定した。
 パディーリャ保健相によれば、20日に提出された修正案では、看護師や理学療法士、臨床検査技師などが患者の応対や最初の診療行為を行うことや、ハンセン病、マラリアなどのような疾患に対する治療行為を行うことを認める手順書(プロトコール)がSUSなどにある場合は、医師以外の医療従事者にも病気の診断、処置の指示を認めている。つまり、医師に優先権を認めながら、手順書がある場合には、トレーニングを受けた他の医療従事者も診断できるようにしている。
 これらの疾患で後遺症を残さないようにするにはできるだけ早く処置する必要があり、看護師や看護助手、医療従事者に代わって初期のケアを提供する地域住民(コミュニティヘルスワーカー)は、症状を診断するためのトレーニングを受けている。これら疾患が蔓延している地域の多くは、迅速に対応できる医師がいないためだ。
 下院本会議場には、市警や軍警、消防士の給料に全国統一の最低基準を求める「PEC300」の通過を求める警官や消防士ら200人を含む約500人が乱入、約30分審議が中断された。その騒ぎでけが人や器物破損などはみられなかった。