ニッケイ新聞 2013年8月23日
マット・グロッソ州の州都クイアバ。南米大陸のほぼ中心に位置し、南米のへそとも呼ばれるこの町はブラジル中西部の産業、経済の中心地で、特に牧畜業がさかんだ。
サンパウロから飛行機で約2時間(乗り継ぎなし)。「緑の街(Cidade Verde)」と呼ばれ、世界的な大湿原パンタナール自然保護区、シャパーダ・ドス・ギマランエス(ギマランエス高原)など、大自然が魅力の観光地への拠点でもある。
クイアバの気候の特徴は、とにかく日差しが強烈で暑いこと。年間の平均気温は26度だが、昼間はじりじりと皮膚が焼けるのがわかるほどだ。
1719年、奥地探検隊(バンデイランテス)によって金鉱が発見されたのに伴い、集落が形成されたのが町の起源だ。19世紀中頃に当時のマット・グロッソ県の行政府となった。パラグアイ戦争で一時戦場となり荒廃したが、その後は都市化が進んだ。パラグアイ川の支流であるクイアバ川沿いにあり、川を下るとボリビアとの国境近くのコルンバに達する。
観光地として有名な「パンタナール」はポルトガル語で「大沼地」を意味する。その名のとおり、世界最大の熱帯性湿地で、多様な植物相や動物相を誇り、世界自然遺産にも登録されている。
ギマランエス高原はクイアバから東に約60キロにある台地で、国立公園となっている。ブラジルの「グランドキャニオン」と呼ばれており、標高差数百メートルの断崖が連なる様子は圧巻だ。
クイアバで食べたいのは、美味しい淡水魚の料理。レストランに入ってパクー(Pacu)、ピンタード(Pintado)というメニューを見つけたら、注文してみるといいかも。フルンドゥ(Furundu)と呼ばれる緑のパパイアを砂糖とシナモンで味付けした伝統的なデザートも試してみたい。その他、アラブ料理の美味しい店もある。
市内のお勧め観光スポットは、「Casa do Artesanato」(工芸家の家)。1910年に建てられた荘厳な建物で、地元の芸術家の優れた手工芸品が展示・販売されており、インディオが多く住んでいるマット・グロッソ州の文化を肌で感じることができる。
W杯で4試合が行われるスタジアムは「アレーナ・パンタナール」。それまであったスタジアムを2010年に取り壊し、今も建設中で現在の完成度は80%で、今年12月に落成予定だ。収容人数は約4万3千人で、サッカーミュージアムやレストラン、ビアガーデンも擁する施設になるという。