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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年8月23日

 岩手県人会55周年で来伯した達増拓也知事は、今後必要とされる支援として「実際に来てもらったり、気持ちのこもった贈り物や励ましの手紙をもらったりすること」だと指摘した。長引きそうな仮設住宅での辛い暮らしを支えるような「精神的な支援」が求められている▼県連主催の被災地招聘交流事業の講演会で、岩手県陸前高田市から来た大和田加代子さんが言った「被災地を心の片隅に置いて」という言葉が印象に残る。あの切実な話をノロエステやパラナなど地方在住者にも聞いてほしい。これは「日本とコロニアの絆を強める」意味でも重要な事業だと痛感した。ポ語通訳付きで二、三世、ブラジル人など多様な人に聞いてほしい▼新興国からできる支援などたかが知れているだろうが、達増知事が言うような「精神的な支援」ならある程度は可能だ。日本語学校などで被災地の仮設住宅での暮らしに関する実録ビデオを授業で見せ、生徒達に応援のメッセージを書いてもらい、福島、岩手、宮城各県人会を通して仮設住宅の住人に送ったらどうだろか▼他にも県人会や県連主催で「応援メッセージ作文コンクール」を実施しても良いのではないか。もちろん日本語センターと組む手もある。その優秀作品を掲載するためなら弊紙の紙面を提供してもいい。弁論大会のテーマを応援メッセージにするのはどうか。それをビデオに撮って県人会を通して母県に送ることも可能だろう▼手を変え品を変え「いつも心の片隅に置いている」という意志表示をしたいものだ。3・11を機にした新しい日本との〃絆〃を作ることは、むしろ我々自身にとって大切なことなのだから。(深)