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キャプテン・ナシメント米国へ出動?!=Wモウラがハリウッド映画進出

ニッケイ新聞 2013年8月28日

 ヴァギネル・モウラは「現在のブラジルで最高の俳優」とも評されることもある存在だ。ブラジル史上最大のヒット映画となった『トロッパ・ダ・エリッチ』の主役キャプテン・ナシメント役で名声を得た彼は最新出演作『エリシウム』(ブラジル公開・9月20日)で遂に本格的ハリウッド進出を果たした。
 ヴァギネルは1976年に生まれ、バイーア州サルバドールで少年時代をすごした後、大学に進んでジャーナリズムを専攻しており、最初はテレビのニュース番組のレポーターを務めていた。
 後に俳優に転身、早くから成功を収め、2000年にはスペインの人気女優ペネロペ・クルス主演の『ウーマン・オン・トップ』のブラジルでのシーンで、脇役ながら出演する幸運を手に入れた。
 ヴァギネルは2000年代半ばから大役を任され始め、1992年にサンパウロ市のカランジルー刑務所で起こった大虐殺事件を描いた映画『カランジルー』や、TVグローボで放送されて話題となったドラマ『JK』で歴代屈指の人気大統領のジュセリノ・クビチェック大統領役を演じて注目された。
 2007年にはベルリン映画祭で大賞の金熊賞に輝いた『トロッパ・ダ・エリッチ』が興行・批評共にブラジルで熱狂的に迎え入れられ、世界公開されて一気に知名度を高めた。10年に発表された続編も当地の興行成績を塗り替えた。
 こうした実績を引っさげ、満を持してヴァギネルは37歳でハリウッド・デビューを果たした。映画『エリシウム』でのヴァギネルは、足の不自由なコンピューター・ハッカー役を演じ、マット・デイモンやジョディ・フォスターといった世界的俳優を相手に好演を見せている。
 「バイーア流に大げさに演じてみたら監督に『欲しいのはそういうのじゃない』と言われたよ」とヴァギネルは語る。彼はブラジルとの違いを「歩行用の杖が欲しいと言ったら、スタッフが50本も持って来たよ」と答えている。
 また「キャプテン・ナシメントのイメージがあるのか、すごく政治にうるさい男の役柄を与えられている」と語っている。だが、ヴァギネル本人も政治意識が強く、アマゾン地区へのダム建設反対運動や、同性愛差別主義者の下院人権委員会の委員長マルコ・フェリシアーノ氏の辞任勧告運動にも積極的だ。
 また、役者以外の活動にも積極的だ。12年にはかねてから自身が敬愛していたブラジルが生んだ最高のロック・バンド、レジアン・ウルバーナの2晩だけの再結成コンサートにヴォカリストとして参加し、96年に死去したレナート・ルッソの代役をつとめた。また、シェイクスピア演劇の「ハムレット」の現代版のプロデュースなども行っている。
 そんな彼の次回作もハリウッド作品で、オスカー常連監督のスティーヴン・ダルドリーの最新作に出演するという。(フォーリャ紙付属のセラフィーナ誌掲載)