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『日本人の心の歌』盛況に=選りすぐりの名曲を熱唱=「毎年レベル上がっている」

ニッケイ新聞 2013年8月29日

 本紙読者が選んだ57曲もの昭和の名曲を歌い上げるコロニア歌謡の祭典『日本人の心の歌』(高木ラウル実行委員長)が18日午前10時から、サンパウロ市の文協ビル大講堂で開催され、1200人以上が詰めかけて2階までいっぱいになった。同実行委員会と本紙が主催。
 バイオリンやトロンボーンも加わった特別豪華編成の「ザ・フレンズ」楽団の繊細な生演奏が始まると、司会の道康二さんによる名調子の解説が場を盛り上げ、本紙読者アンケートによって選出された「戦友」「遠くへ行きたい」などがコロニア選りすぐりの約60人の歌手によって歌い上げられ、来場者はしんみりと聞き入った。
 日本舞踊の吉沢英子さん、梶川睦さん、グループ「優美」と太鼓集団「喜楽」なども舞台で大いに雰囲気を盛り上げた。最後の57曲目は早藤アレシャンドレさんの歌う『乾杯』で、満場からの拍手を浴びて閉幕した。
 6回ほど来ているという森西茂行さん(92、徳島)は「毎日散歩しながら『愛国行進曲』を口ずさんでいる。歌詞の日本を〃ブラジル〃に変えて、こっち向けに歌ってもいいんじゃないか。日本の歌を通じて、こちらに日本人が強く持つ『国を愛する心持ち』を広めるのはとても意味がある」と頷いた。
 鐘ケ江エレナさん(62、二世)は「何年か前に戦争をテーマにした回では特に感動した。聞きながら涙が止まらなかった」と繰り返した。
 伊勢テルコさん(85、富山)は軍歌が大好きだという。「4歳でブラジルに来た。15歳頃、グアラサイの近くの植民地では、みんなが集まった時によく愛国行進曲を合唱していた。とても懐かしい」と興奮した面持ちをみせた。
 毎年リオ市から聞きに来ているという村田哲さん(86、栃木)は、「NHKの歌謡番組より、こっちの選曲の方がしっくりくる。それに道さんの解説がいいし、歌手も立派なもの。毎年楽しみだ」と熱心に聞き入っていた。
 今年13回目の同ショーを企画運営してきた道さんは「最初の頃は特攻隊の生き残りの方が何人もいらっしゃって、興奮して軍歌の最後に『天皇陛下、バンザーイ!』と叫ばれる方もいた」と振り返り、「毎年、楽団も歌手も腕を上げて、ショーのレベルが良くなっている」と笑みを浮かべた。