ニッケイ新聞 2013年8月29日
高知県人会の創立60周年式典。年配の幹部らが忙しそうに立ち動いていた。というのも青年部が同日にアグアブランカ公園で開催された「土佐祭り」の準備にかかっていたからだ。ちなみに片山会長が経営するブッフェも数カ所で仕事があったようで、公私ともに大忙しの一日だったようだ▼青年部が提案し、2回目となった同祭。昨年の初開催までにかなりの葛藤があったとか。県人会の年間予算と同額の費用がかかるということもあり、幹部ら「下手したら県人会が潰れる」とかなり消極的だった。しかし開催2回目にしてサンパウロ市の公式カレンダーに入るなど、若手らの政治力に感心し、胸を撫で下ろしているようだ▼太鼓やコスプレが披露される舞台を尻目に「土佐って言ってもねえ…」と漏れる幹部のため息を聞いた。名前が先行しており、いわゆる高知らしいものがないことが懸念材料だという。他の日系イベントと差別化を図りたいというのが思いだ。ただ長年故郷を離れた一世や、研修などで訪れただけの二、三世にとっては正直なところ何を売りにしていいのやら…というのが本音だろう▼式典後、慶祝団で来伯した県議員や農協関係者に見てもらい、県側の支援を期待する思惑もあったようだ。ただ郷土の名を地球の反対側で高めていることに胸を熱くしたとしても、当地の事情なども知り得なければ、具体案に繋がらないのではないか。文化交流とはなかなかに難しい▼ただ県人会の共通課題といえる世代交代を高知県人会はある意味、上手く行なっているといえる。今後は県も含めた三者をどう繋げていくかという次の段階にきている。(剛)