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下院=ドナドン下議を罷免せず=13年の実刑判決で服役中も=議員間でロビー運動さえ=メンサロン裁判に影響か

ニッケイ新聞 2013年8月30日

 28日、13年の実刑判決を受けて服役中のナタン・ドナドン下議の処遇をめぐる無記名投票が下院で行われ、同下議は罷免を免れた。メンサロン事件で断罪されて罷免となった議員の件もあり、政治改革が叫ばれる中での下院の決定は大きな波紋を呼びそうだ。29日付伯字紙が報じている。

 ロンドニア州選出のドナドン氏は、広告関係の契約でロンドニア議会から840万レアルを横流しした容疑で13年の実刑判決を受け、6月28日からパプーダ刑務所に入っている。
 ドナドン氏はこの日も警察に付き添われ、手錠をはめられた状態で下院に現れた。ドナドン氏は投票前に下議たちに向け、「私は1センターヴォすら横流ししていない」と証言し、刑務所での生活の惨状まで訴えた。
 投票結果は罷免に賛成233、反対131、棄権41で、賛成票が罷免に必要な257票を下回ったため、ドナドン氏は議員罷免を免れた。投票時は108人の下議が欠席していた。
 同下議の罷免回避は、最高裁がメンサロン関係議員の罷免を決めたことへの議会の反発や、同事件関係議員の罷免を避けたいとの伏線があった。また、ドナドン氏は事件発覚後に民主運動党(PMDB)を追われて無所属だが、PMDBと労働者党(PT)の福音派議員は、同じ福音派のドナドン氏を救おうと「ドナドン氏は無罪だ」とするロビー活動も展開。この日の投票を棄権したり欠席したりした下議の大半はPTの議員だった。
 この結果に、罷免票を投じた下議たちは憤慨した。民主党(DEM)下院リーダーのロナウド・カイアード氏は「今、国がどういう状態を迎えているのかまるでわかっていない」と呆れ、社会大衆党(PPS)下院リーダーのルーベンス・ブエノ氏も「議会は死んでいる。国民に対してきわめて無礼だ」と答えた。また、この結果は、6月の全国規模でのデモで国民が望んだ「政治改革を」に反するもので、国民の反感も懸念される。
 エンリッケ・アウヴェス下院議長は下院のイメージが損なわれることを恐れ、投票後にドナドン氏は服役中で職務が遂行できないとの理由で実質的に職務を解き、アミール・ランド氏(PMDB)を補欠から繰り上げることを発表した。
 今回の下院の判断は、メンサロン裁判にも影響するか否かという点で注目されていた。同裁判では、元下院議長のジョアン・パウロ・クーニャ氏ら4人の下議が実刑判決を受け、さらに、「実刑判決を受けた時点で議員は罷免」という判決が下されていた。それに対して議会は、「議員の罷免は議会投票で決めると憲法で決められている」として猛反発していた。
 この点に関しては昨年12月のメンサロン裁判の時も判事間で判断が割れ、僅差で罷免と決まったが、同裁判後に最高裁判事に任命されたテオーリ・ザバスキ、ルイス・ロベルト・バローゾ両氏は「罷免決定は議会で」との見解を見せている。 マルコ・アウレリオ・メロ最高裁判事は29日、下院の判断は違法のため最高裁が再度審議する可能性があるとした上で、メンサロン裁判の結果には直接的には影響しないとの見解を示した。