ニッケイ新聞 2013年8月30日
北東伯ピアウイ州の農場で28日に耕地火災が発生し、送電線2本で短絡(ショート)が起きたため、北東伯9州で広域停電が生じたと29日付フォーリャ、エスタード両紙が報じた。
エジソン・ロボン鉱山動力相によれば、今年初の広域停電は、ピアウイ州南部カント・ド・ブリチ市のサンタクラーラ定住地での火災により、リベイロ・ゴンサウヴェス〜サンジョアン・ド・ピアウイ間を繋ぐ送電線2本が短絡を起こしたためだという。
火災による送電線損傷のために短絡が起き、1度に大量の電気が流れた事で、変電所のスイッチが切れたのは午後2時58分。この時はスペイン系企業イゾルックス社の送電線の短絡だったが、それからわずか6分後の3時04分には、ミナスジェライス電力公社参加のタエザ社の送電線でも短絡が起きた。
二つの送電線で起きた短絡とそれに伴う変電所のスイッチ切断で、他の地域から供給されるものを含む電力を北東伯全体に流すシステムが機能を停止し、北東伯全体が約2時間半停電。内陸部では回復が更に遅れた。
この停電で信号や地下鉄なども機能が止まり、都市部を中心に鉄道も含む交通網が大混乱に陥った。商店や会社が早めに仕事を切り上げ、学校の授業も取りやめになったりした事で人の動きは更に大きくなり、交通網の混乱は更に深刻化。夜になっても渋滞が続いた自治体もあった。
また、電話やインターネットも使えなくなり、一時的に諸方面との連絡不能となった人も多い。バス停など人が集まった所では、人ごみを狙った集団強盗事件も報告されている。今回の停電で被害を受けた人は1600万人とされている。
ピアウイ州サンジュリアン市の水力発電所を視察する直前に広域停電に見舞われたジウマ大統領は早急な原因解明を命じたが、フォーリャ紙によれば、2012年に電力料金を20%値下げすると発表してから起きた広域停電は既に6回目。民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス党首は、「労働者党(PT)政権では既に10回の大規模停電が起きており、同党の政策に〃計画性〃が欠けている事が明らかになった」と批判の声を上げた。
サンタクラーラ定住地は、ルーラ前大統領が2005年にバイオ燃料生産拠点と誉めそやした、1万7千ヘクタールの農場だ。マモーナから作るバイオディーゼルが同地域の貧困者の生活を変えると宣伝され、マモーナ栽培用の土地と家の付いた区画に多くの家族が住み着いたが、計画は機能せず、現在は農地改革を叫ぶ300家族の定住地となっている。
今回の火災は犯罪絡みとの情報もあり、現地警察が原因を調査中だ。