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崩壊事故の死者10人に=設計図と工事の間に何が?

ニッケイ新聞 2013年8月31日

 【既報関連】27日にサンパウロ市東部サンマテウス区で起きた商用ビル崩壊事故の救出作業は29日、10人目の遺体回収で終了し、原因解明などに向けた作業本格化と30日付伯字紙が報じた。
 最後の行方不明者の遺体が搬出されたのは、事故発生から58時間後の29日午後4時半。消防士達が輪を作り、救出活動終了を確認すると、見守っていた人々からは大きな拍手が起きた。
 崩壊した建物は2階建てだったが、最初の設計図は1階建ての建物を三つに仕切って使うようになっており、事故当日は1階中央部の柱が2階部分の重さを支えきれずに床が抜け、残る部分も崩壊したと見られている。
 だが、家族ぐるみで他州から来て従事していた労働者ら10人の命を奪い、26人の負傷者を出した事故の最終責任者は誰か、2階建てになった経緯や3月に出た工事差し止め命令が遵守されなかった理由などの解明はこれからだ。
 市街化と住居問題を担当する検察官は、サンマテウス地区を担当する区役所の監査官が差し止め命令の出た工事の続行を認めた理由の解明なども含め、区役所や消防、犯罪研究所と協力して捜査する方針だ。30日付エスタード紙は、監査の不備を示す書類がある事と、所有者が建設工事続行のために賄賂を払ったとの匿名通報があった事などを報じている。