【既報関連】ペトロブラスによる米国テキサス州のパサデナ製油所買収に関与していたことに関するジウマ大統領の答弁に対し、ペトロブラスの内外から矛盾を指摘する声が漏れてきている。20日付伯字紙が報じている。
20日付本紙でも報じたように、ペトロブラスは、ベルギーのアトラス社が2005年に4250万米ドルで手に入れていたパサデナ製油所買収に関し、06年と09年に計11億8千万米ドル支払うこととなった。
この問題については、国庫庁とリオ州検察局、連邦警察が不正取引の有無をめぐる調査中だが、その中で、06年に当時同社の経営審議会議長をつとめていたジウマ氏が買収を支持していたことが明らかとなった。
この疑惑にジウマ氏は18日、「アトラス社との契約条項の情報が不足していた」とし、その条項を事前に知っていれば買収に反対していたと語った。それは、市場が悪化した際も共同経営者に年6・9%の分配金を払う「マルヒン」と、共同経営者との関係が悪化した際、相手の持ち株を買収する「プット・オプション」という条項だ。
だが、ペトロブラスの理事2人は、プット・オプションは同社が買収問題に携わる場合に必須事項としてつけられるもので、同社が2003年にアルゼンチンと交した契約でも盛り込まれていると語っている。
また、経営審議会議長も経験したことがあるデルシジオ・アマラル上議(労働者党・PT)は、「審議会に参加する理事や顧問が、審議会にかけられる議題に関する完全な情報を入手できないというのは考えがたい」と発言した。
「マルヒン」や「プット・オプション」といった条項が情報として委員会に行き届かないという状況はありえないとの考えは、ペトロブラスの複数の幹部や買収問題に詳しい弁護士たちも口にしている。企業法が専門のフェルナンド・チブリシオ弁護士は「国際的で大規模な買収に絡む問題で、このような大事な条項が省かれるということは常識的に考えてありえない」と語っている。
ペトロブラスの理事たちは、今回問題となった契約での「マルヒン」が定めた共同経営者への6・9%の分配についても、「普通は5%が上限でそれ以下」と矛盾点を指摘している。その上で、「もし、そのように契約条項で不審な点があれば、どこかの時点で司法的な判断を仰ぐこともできる」と指摘した。
ペトロブラスでは大統領発言後に緊張が高まり、グラッサ・フォステル総裁は19日のサンパウロ市でのイベントへの出席を急遽キャンセルした。セアラー州フォルタレーザのイベントに出席したジウマ大統領は同日、これらの件についての報道陣の質問に無言を通した。
2006年の交渉時のペトロブラス国際渉外理事で、現在は系列のBRディストリブイドーラの財務理事のネストル・セヴェロー氏は、8年前の件の責任で辞職を迫られているという。