ニッケイ新聞 2013年7月3日
6月中旬以降に活発化したデモの影響により、ブラジルの消費生活に強い影響が出ていると、2日付伯字紙が報じている。
サンパウロ商業会(ACSP)が発表したデータによると、サンパウロ市では6月、小売業界の売上げが昨年同月比3・5%落ちた。一括払いは前年同月比で4・1%減、クレジット販売も2・8%減となったという。
6月を前半と後半で比較した場合、1〜15日の売上げは、昨年同時期と比べて分割払いで4・3%、一括払いで3・2%増えていたのに対し、16〜30日は分割で10・2%、一括で14・1%と激減した。
ACSPの経済学者のエミーリオ・アルフィエリ氏は、「非常に多くの商店がデモを恐れ、早い時間に閉店していたのが響いている」と分析している。同氏は、サンパウロ市の商業活動の中心地であり、デモ活動の拠点としても使われたパウリスタ大通りなどの減益率はより大きかった可能性があると指摘している。
また、今年の1〜5月まで前年同期比8・6%増と好調だった全国の自動車販売も、6月は前年同月比9・8%の減少を記録する打撃を受けた。全国自動車工業会(Anfeva)のルイス・モアン会長によると「デモの影響で、消費者が販売店にまで足を運ぶのを控えたことが響いた」と語っている。この影響もあり、2013年の自動車販売見通しは、前年比3・5〜4・5%増に下方修正された。
商業界としては7月以降の巻き返しを期待したいところだが、小売開発協会(IDV)のフラーヴィオ・ロシャ氏は「消費者の信頼感回復が難しい」と語る。また、小売店管理計画コーディネーターのクラウジオ・フェリゾーニ教授は、デモの影響に「利子の高さと90日以上のローンを組んでいる消費者が多いことが重なって、年内の消費の復調は難しいのではないか」と語っている。