ニッケイ新聞 2013年7月4日
毎日バスで通勤していると色々な方法で金を稼ぐ庶民を目にする。「ノルデスチから来たばかりで仕事がない。赤ん坊にミルクもやれない」と車中で声高に叫ぶ人もいれば、「手術したが薬を買う金がない」と痛々しい傷を見せる男性もいる。
彼らに大いに同情はするが、これまで物乞いには応えてこなかった。当地に来た当初は、外国人の自分が当地生まれの彼らより良い生活をしている引け目も感じて迷ったが、「働かざるもの食うべからず」という日本的価値観に落ち着いた。
心の中でひっそりと声援を送るのは、バスを渡り歩いてわずか1レアルの菓子を売る人たち。立派な労働者だが、ひょっとしたら物乞いより儲かっていないかも。でも、彼らの努力には財布の口が開く。「これで何センターボの利益になるのか」と思いながら、「オブリガーダ、モッサ」の笑顔に心が和む。(阿)