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A・サンタバルバラ=〃湯の町〃で広がるハーモニー=08年開園、イベントも=市、日系団体がガッチリと

ニッケイ新聞 2013年7月6日

 サンパウロ市の西方340キロ、〃湯の町〃で知られるアグアス・デ・サンタバルバラ市(人口6千)、敬和日伯協会(安藤美知子会長、30家族)の共催による『第5回ハーモニーの森誕生記念祭り』が先月29日午後7時から、セントロ区マトリス広場で開かれた。激しい雨にたたられ客足はまばらだったものの、サンパウロ市からは琴の宮城会が訪れ、日本の調べを響かせた。ニウデルシオ・マダジオ副市長(63)は「来年からは広報も強化し、盛り上げたい」と話し、安藤会長(62、二世)も「小さな町だが日本文化を伝える祭りとして発展していけば」と意気込んでいる。

 同市は良質の温泉と水源地として知られ、アヴァレー、バウルーなどから湯治に訪れる人も多い。「痛風がひどくて三週間毎日通った」と話す東昭子さん(81、二世)=ボツカツー在住=は、今でも月に一度は訪れ、同地の水を毎日飲むことが健康維持の秘訣だという。
 「日本人はオンセンが好きだろう? ゲートボール場も3面ある。日系コロニアの人に知ってもらいたい」とマダジオ副市長がアピールすれば、ヴァルテル・ロベルト・マゾン観光局長が「日系団体にもっとイベントに参加してもらいたい」と受け取った。今年5回目を迎えた同祭を盛り上げることに市も躍起のようだ。
 ブラジル日本移民100周年の2008年、日系人有志らが「何かできないか」と相談、〃ハーモニーの森〃を作ることを市に提案。セントロ近くの土地4千平米の使用許可を得た。
 計画に関わった小笠原勇二さん(81、青森)によれば当初、日本庭園を作る計画もあった。「でもそれじゃ日本に偏るでしょ? ブラジルは移民の国。色んな木を植えて協調(ハーモニー)を表現したかった」とその名の由来も説明する。
 現在、桜、イペー、クアレズメイラ、ジャカランダ、ミモーズなど53本が季節ごとに花を咲かせ、市民を楽しませる。有志らのグループは11年に「敬和日伯協会」として正式登録、同園管理や同時に始めたイベントの運営を行う。昨年はバウルーの太鼓グループ、今回は宮城会を招いた。
 公立校の子どもたちがダンスやコーラスを披露したステージの周りには、日本食のバンカに加え、野菜、果物も販売、のどかな田舎町の祭りの雰囲気が漂い、来場者らの笑顔があふれた。
 かつて同市に住んでいたというクリスチアーニ・マリノッチさん(47)は「去年の太鼓もだけど、今年の琴も良かった。来年はもっと人が来ればいいね」と和やかな表情を見せた。