ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | カンピーナス=コンサート中に歌手銃殺=人気のファンキの光と影

カンピーナス=コンサート中に歌手銃殺=人気のファンキの光と影

ニッケイ新聞 2013年7月9日

 6日夜、サンパウロ州カンピーナスでのコンサートの最中に、ステージ上の歌手が何者かによって射殺される事件が起きた。8日付伯字紙が報じている。
 事件は6日夜、カンピーナス市北部のヴィラ・サンマルチンで行われたサンパウロ州都市住宅開発公社主催のフェスタ・ジュニーナでのコンサートで起こった。ダンス音楽のファンキのラップ歌手、MCダレステ(20、本名セナ・ペレグリネ)は、午後10時30分頃にステージに上がったが、10分後に何者かに撃たれた。銃声は少なくとも2度響き、2度目の弾を腹部に浴びたダレステは、ステージに崩れ落ちた。ダレステはパウリーニア市立病院に運ばれたが、7日未明に息を引き取った。
 事件発生時、コンサートには約1千人、フェスタには4千人の客が集まっていた。ダレステが銃弾を受けるところは観客によってビデオで録画されており、動画サイト「ユーチューブ」に投稿され、1日で約400万回再生された。
 犯人は逃走中だが、現場に駆けつけた軍警によると、武装した人物がナンバープレートのない赤い車に乗って立ち去る姿が目撃されている。コンサートの主催者は「殺された理由はわからない」と話しているという。
 だが、ダレステの父親であるローランドさんは「妬みによる殺人だ」と語っている。サンパウロ市東部出身のダレステは16歳の頃からラン・ハウスでコンピューターを使った曲を書きはじめ、それを「ユーチューブ」にあげて行くことで人気を得ていったという。現在は月に40本ものコンサートをこなし、1回の稼ぎは平均5千レアルで月収は20万レアル近かった。その境遇にダレステ自身も「水がシャンパンに変わったようだ」とみずから語っていたという。
 なお、サンパウロ州でファンキのラップ歌手が殺害されたのは2010年以降、これで5人目となる。