ニッケイ新聞 2013年7月13日
ジウマ大統領は11日、ブラジル内における医療行為に関する基本方針を定めた法案(Ato Medico)を裁可し、同日官報に掲載された。同日付G1サイト、12日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。
同法案は2002年に医師の元上議によって提案されたが、連邦医学審議会では医師、その他医療従事者のメンバーとの間で意見が分かれ、11年間眠った状態のままだった。
大統領裁可では、看護士や栄養士など他の医療従事者から反発を受けていた、病気の診断、それに伴う治療薬の処方箋発行などの行為を医師に限定するという項目は廃止された。
ただし、手術の指示と実施、麻酔薬の処方、〃出すぎた医療行為(procedimento invasivo)〃とみられる診断、治療、整形、生検(生体の臓器あるいは組織の一部を取り出し、病理組織学的に診断を確定すること)、内視鏡検査などは医師に限定されるという。
そのため、鍼灸師など医師以外の医療従事者は、このprocedimento invasivoの解釈次第では、仕事の範囲が制限されるのではないかと懸念している。
政府の説明は、医療行為の全てを医師に限定してしまうと、統一医療保険システム(SUS)の病院などで日常的に行われているハンセン病、結核、デング熱などの診断や初期治療を行う看護士の仕事を制限することになる、というものだ。
ブラジル看護協会のイヴォーネ・カブラル会長は、「他分野の医療従事者の仕事は、医師の仕事と同じくらい重要」と喜ぶが、連邦医学審議会のロベルト・ダヴィラ会長は「お金がある人は医者に診てもらえるが、ない人はSUSで医者じゃない人の診断を受けるということを容認することになる」と反発を隠せない様子だ。
法案は60日以内に施行されるが、ダヴィラ会長は廃止項目の撤回を図るために議会に働きかける意向だという。