ニッケイ新聞 2013年7月13日
サンパウロ州ミラカツ市(レジストロから50キロ)在住の江尻龍之介さんは、ピラルクの養殖をしている。江尻さんの一番のお得意先は、サンパウロにある2軒のレストラン『ダウヴァ・エ・ジット』『D.O.M.』で経営者兼料理長をつとめるアレックス・アタラさんだ。彼は今年の世界のレストラン・ランキングで6位(昨年は4位)、もちろん南米では一番と言う有名人として知られている。
江尻さんはミラカツ市で老人ホームの支援も行っているが、現在25人が入居している同ホームの収容人数を、40人目指して増築を計画中という。資金集めの先頭に立ち、アレックさんにも寄付をお願いしたら、「それでは、私のコックを7人入れて、材料も買って、ミラカツでガリニャーダ(鶏のスープ)をしますから、あなた達は食券を売って下さい。売り上げの全額を寄付します」と言われた。
6月16日にその計画が実現し、約500人が来場、アレックスさんのガリニャーダに舌鼓をうった。アレックスさんは気さくな人で、皆からサイン攻めにあった。
江尻さんは「アレックスさんと従業員の皆さんのお陰で予想以上の成果が上がりました。ご来場下さいました皆さんにも厚くお礼申し上げます。私達の老人ホームの施設を皆さんに見てもらったのもとても良かったです」と語った。
暗いニュースの多い今日この頃、珍しく心温まる話といえる。(金子国栄さん通信)