ニッケイ新聞 2013年7月16日
南米共同市場(メルコスル)首脳会談が、12日にウルグアイのモンテビデオで行われた。その席で昨年の7月以来加盟資格停止処分を受けていたパラグアイの復帰が認められたが、パラグアイの新大統領が難色を示している。13日付伯字紙が報じている。
12日の会議には、ジウマ大統領と開催国ウルグアイのホセ・ムヒカ大統領、アルゼンチンのクリスチーナ大統領、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領のほか、正式加盟申請中のボリビアのエヴォ・モラレス大統領や準加盟国、ガイアナ、スリナムなどの外交代表が出席した。
この会議で、メルコスルの新議長となったマドゥーロ氏が、現在資格停止処分中のパラグアイの8月15日からの復帰を認める宣言を行った。メルコスルは昨年7月、同国議会によるフェルナンド・ルゴ大統領罷免は「民主主義の下で行われなかった」として、新しい大統領が正式な選挙で選ばれるまで、メルコスルの加盟資格を停止する決定を下していた。
同国では今年4月に大統領選が行われ、オラシオ・カルテス氏が当選。この選挙はメルコスル加盟国から正式な民主主義的手続きを経たと認められ、カルテス氏が大統領に就任する8月15日をもって復帰とすることを認めた。
だが、マドゥーロ氏による復帰宣言直後、カルテス氏が書面でメルコスル復帰に難色を示した。パラグアイはかねてからベネズエラの加盟に反対していたが、同国が資格停止処分を受けている間にベネズエラの正式加盟が承認されたため、カルテス氏はマドゥーロ氏が議長に就任しない事をメルコスル復帰の条件としていた。カルテス氏は、ベネズエラの加盟と議長就任は「新加盟国は設立4国(パラグアイ、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ)の合意で決める」というメルコスル協約違反だとしている。
ジウマ大統領は「パラグアイはメルコスルにとって大事な一国。経済や通商面での報復は行ってない」と語っている。マドゥーロ氏もパラグアイ復帰に「全力を尽くす」としている。
また、今回の首脳会談でボリビアが正式加盟に向けて一歩前進した。ルイス・アルマグロ書記長(ウルグアイ)によると、同国は4年の移行期間を経て、2017年から正式加盟の見込みだ。また、ガイアナとスリナムの2国が準加盟国に認められた。
今回の会議では、米国の国家安全保障局(NSA)による個人情報収集の実態を暴露した元情報局員エドワード・スノーデン氏の問題についても語られた。会議では、各国の情報がスパイによって漏洩しないための安全対策を敷く必要性を説くと共に、加盟国が亡命申請中のスノーデン氏を受け入れる意思がある場合は、それを侵害しないことを決めた。
また、2日にボリビアのエヴォ大統領を乗せたロシアからの飛行機を、スノーデン氏を乗せていると疑い、領空通過を拒否したフランス、ポルトガル、イタリア、スペインの4カ国のメルコスル内大使を召集し、説明を求めることも決まった。