ニッケイ新聞 2013年7月17日
2012年12月からより厳しくなったレイ・セッカ(飲酒運転禁止法)の影響で、今年前半の売り上げが不調だった飲料業界やバールなどが、遠のいた客足を取り戻すべく、より安い料金のタクシーや夜中のバス運行など、交通機関を充実させる試みを始めている。
3月以降、業界の事業主らはタクシー業界、メトロ、パウリスタ都電公社(CPTM)、サンパウロ都市圏運輸公社(EMTU)などと定期的に会合を持って対策を練っている。サンパウロ州交通局が開設した委員会での会合では、酒を飲んだ客が自家用車の代わりに使えるような、公共交通機関の拡大策を検討している。
メトロを24時間稼動させるという案は却下されたため、現在検討されている案の一つは、メトロの5路線と同じルートを明け方まで走るバスの運行だ。夜間運行のバスは小型のものでよく、メトロの駅からバールが集中する地区の間はバンを走らせたいとしている。
この案はあくまで検討段階だが、関係者は、8月までにパイロット・プロジェクト(テストや試行として企画された活動)を作ってビラ・マダレーナ地区で試験的に導入し、段階的にサンパウロ市のほかの地域にも広げていきたい考えだ。
また、夜間のタクシー料金を下げるための策も検討している。午後8時からは日中の料金より30%高いバンデイラ2と呼ばれる料金が適用されるが、深夜の料金を日中と同じバンデイラ1に下げるという案で、バール店主や飲料製造業者は市役所に対し、料金を下げて運行しても良いというタクシー業者を登録することを提案したが、薄利多売型の提案に応じるタクシー業者がどの位いるかは不明だ。
検討されているもう一つの可能性は、飲料業界とバールがタクシーを使う客に補助金を出すという案。バールに行くためのタクシーを呼ぶのにスマートフォンの機能を使い、それを証明にしてバールが料金を値引くというシステムだ。
ブラジルバーレストラン協会(Abrasel)、ブラジル飲料協会(Abrabe)、ブラジルビール製造協会(CervBrasil)の3団体が資金を出し合って行うパイロット・プロジェクトは、8月からビラ・マダレーナで実施される予定だ。タクシー利用者の目標は1カ月に3千人で、1人当たりの補助金額は平均5レアル程度と考えられている。(14日付エスタード・デ・サンパウロ紙より)