ニッケイ新聞 2013年7月17日
サンパウロ州市警が15日、麻薬密売者に捜査情報を流したりして便宜を図る見返りに金を受け取っていた容疑で、麻薬捜査課(Denarc)警部や元職員ら7人を逮捕と16日付フォーリャ、エスタード両紙が報じた。
カンピーナス地区で州都第1コマンド(PCC)絡みの新たな捜査が始まったのは12年10月。同地区の麻薬密売者を指揮しているのはPCC幹部の一人で、02年に逮捕されたヴァンデルソン・ニルトン・デ・パウラ・リマことアンジーニョ。密売者らは捜査の手を緩めたり情報を流したりしてくれる警官達に最高で年66万レアルの金を払っていた。この金は警官同士が分け合っており、年30万レアルを受け取った例や月々の収賄額が3万レアルに及ぶ例もあったという。
検察当局によると、市警達は袖の下の支払いが遅れると犯罪者の家族を誘拐するなどの犯罪行為も行っており、誘拐事件捜査中の盗聴記録などから、アンジーニョがベンセスラウの刑務所内から様々な指示を出していた事や、警官との間で金のやり取りなどがあった事が判明した。
逮捕者7人の中には、諜報係長で国や州が共同で行う麻薬対策班の一員でもあるクレメンテ・カスチニョネ・ジュニオル警部、支援担当のファビオ・アマラル・デ・アルカンタラといった警部クラスも含まれている。情報提供や収賄、犯罪組織構築、誘拐、拷問などの嫌疑を受けた警官は、サンパウロ市11人、カンピーナス2人の計13人で、内7人が15日に逮捕された。警察は残る6人の行方も追っている。
15日には、カンピーナス市で麻薬密売者29人、リベイロン・プレット地区セラーナ市でもアンジーニョを告発した検察官ら殺害を計画していたPCC関係者1人が逮捕された。
Denarc絡みでの警官の大量逮捕は1987年以来で、州保安局では、開設25年以上となる同部署の形態などを見直す考えだ。