ニッケイ新聞 2013年7月18日
13日夜、リオ市のコパカバーナ・パレス・ホテルで、〃バスの王〃と呼ばれる企業家ジャコブ・バラッタ氏の孫娘と、元下議でセアラ州のバス会社社主のフランシスコ・フェイトーザ氏の息子の結婚式が行われたが、この式を巡るニュースがブラジルメディアを騒がせている。
新婦のベアトリス・バラッタさんが結婚式の準備を始めたのは2年以上前。当時付き合っていたリクルート関係の多国籍企業幹部とは別れたが、フランシスコ・フェイトーザ・フィーリョ氏との交際が始まり、式場のノッサ・セニョーラ・ド・カルモ教会とレセプション会場のホテルの予約はキープされていた。
新婦がリオ市でも指折りの企業家の孫で、推定200〜300万レアルの豪華な結婚式となればそれだけで話題となる話だが、メルセデス・ベンツで教会に着いたベアトリスさんを迎えたのは、公共交通の質の改善を求めるマニフェストの参加者達だった。
抗議行動参加者は、花嫁衣裳を着て道行く人にプラスチック製のバラッタ(ゴキブリ)を配る人や、「ぎゅうぎゅう詰めのバスで来た人にも結婚のお菓子を」と書いたプラカードを掲げた人など約60人だったが、披露宴会場のホテルの前には150人が集まった。
バラッタ氏とフェイトーザ氏はセアラ州の交通チケットの会社の共同経営者で、バラッタ氏の後継者の一人でもあるベアトリスさんとフェイトーザ氏の息子のフィーリョ氏の結婚は、ある意味で当然過ぎる結末だ。だが、ソーシャルメディア上で「ドナ・バラチーニャ(小さなバラッタ夫人)の結婚式」と騒がれた結婚式は、平和裏には終わらなかった。
ブラジルメディアを騒がせたのは、ホテルの前に集まった抗議行動参加者の真ん中にホテル内から投げつけられた灰皿が抗議行動参加者の1人の頭を直撃し、アレモン地区に住む24歳のルアン・マルチンス・ナシメントさんが6針縫うケガをしたためで、これを機に、平和的だった抗議行動が一気に暴動化した。
事件当時、ホテルの前には約150人が集まっていたが、その中に20レアル紙幣で作った紙飛行機が飛ばされたりした後、ホテルから出てきた婦人が抗議行動参加者にケンカを売り、ルアンさんやホテルの警備員が2人を引き分けようとしていた時、灰皿が投げつけられた。
額への強い衝撃と鈍い音を感じたルアンさんは最初、ゴム弾か爆弾が当たったと思ったという。灰皿だと分かった回り人々が路上に停めてあった車5台の窓ガラスを破壊し始めたため、通報を受けた軍警が特殊部隊を派遣。ホテルの前はゴム弾や催涙ガス弾が飛び交い、路上は白煙に包まれた。
ルアンさんは15日に法医学研究所で診察を受けた後に警察に行き、灰皿を投げた人物を特定してくれと要請。警察はダニエル・バラッタという人物がソーシャルメディアに「自分が灰皿を投げた」と書き込んでいる事などをつかんでおり、ベアトリスさんのいとこで18歳のダニエル氏から事情を聞く意向だ。(15、16日付G1サイト、エスタード、フォーリャ両紙より)