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PT=PMDBとさらに歩調合わず=国民投票の原案で対立=質問案も他党の反対受ける=ルーラは抜本的改革を叫ぶ

ニッケイ新聞 2013年7月18日

 ジウマ政権の支持率が急降下する中、国民投票の案をめぐり、労働者党(PT)が、民主運動党(PMDB)をはじめとした連立与党との歩調の合わなさを浮き彫りにさせている。17日付伯字紙が報じている。

 全国運輸連合(CNT)が7月7〜10日に行ったアンケートで「14年の大統領選挙で誰に投票するか」ときいたところ、ジウマ氏への票は前回6月の調査の52・8%から33・4%に落ち、20・7%に上がったマリーナ・シウヴァ氏(持続ネットワーク)の猛追を受けた。民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス氏はポイントをやや下げて15・2%となったが、ブラジル社会党(PSB)のエドゥアルド・カンポス氏は7・4%に倍増した。
 17日の下院ではCNTの結果発表と前後し、ジウマ大統領が14年選挙への適用を目指す国民投票についての対策委員会が開設され、初会合も開かれたが、与党最大党のPMDBとPTの議員との間の意見が合わず、物別れに終わった。
 意見が対立したポイントは、PMDBが提案した二つの提案だった。一つは大統領をはじめとした要職の再選禁止で、大統領選の場合、14年でのジウマ氏には適用せず18年から実施となる。この案はアエシオ氏やカンポス氏支持のPMDB議員やPTの反乱分子に受け入られたものの、PTの反感を買った。
 もう一つは、選挙での献金先を政党のみとするという案だ。エンリケ・アウヴェス下院議長(PMDB)は「献金先を政党だけにすれば透明性が出る」と主張している。しかし、この方法では各候補がどのような形でどの位の額を受け取ったが不透明となるため、検察庁や選挙汚職対策運動(MCCE)は、「不正な金の動きがあってもカモフラージュできる」と反対している。
 また、会議に際し、PT内で内紛もあった。エンリケ・フォンタナ下議とカンジド・ヴァカレッツァ下議が対策委員の座を争い、アウヴェス議長が両者の参加を認めたものの、発言はヴァカレッツァ氏のみに限定され、フォンタナ氏が退場。PT議員はヴァカレッツァ氏は「PMDBに迎合的だ」と批判している。
 また、PTが各党党首に提示した国民投票の質問案も、PSBや民主労働党(PDT)、ブラジル共産党(PCdoB)の反対を受けた。選挙資金の調達法は、公金支出のみ、企業などからの献金、両者折衷の三つがあるはずなのに、PTが用意した最初の質問は「あなたは企業が選挙献金をすることに賛成ですか」となっており、国民に公金支出を認めさせようとしていると理解された。任期中に政党を変える場合の議員権喪失などの問題についても、文面が不適切との声が相次いだ。
 一方、ルーラ前大統領は米国紙ニューヨーク・タイムスに、「6月に全国で起きたデモは、90年代の経済混乱や高失業率を知らない豊かな若い世代がさらなる進化を求めた結果。PT内も抜本的な改革が必要だ」とする記事を寄稿した。