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医師不足問題=「労働条件が悪い」=マイス・メジコスに1万人応募

ニッケイ新聞 2013年7月19日

 医療インフラや医師不足が顕著な地域に医師を派遣する連邦政府のプログラム「マイス・メジコス」への申し込みが開始されたが、医師らは「労働者の権利が十分ではない」と、待遇の悪さを指摘して反発している。18日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。
 同プログラムで派遣される医師の契約期間は3年。週40時間労働で月給は1万レ、年金や働く地域の状況に応じた各種補助金も出るが、時間外報酬、13カ月給、FGTS(勤続年限保障基金)などは払われない。
 申し込みを考えたが辞めたというセーザル・カマラ医師(38)は、「何の権利もない。この労働条件では働くのは厳しい」と漏らす。
 「このプログラムは罠。完全に労働法を無視している」。全国医師連盟(Feram)のジェラルド・フェレイラ・フィーリョ会長はこう憤慨する。「(労働が過酷なため)生きていけるかどうかのレベルの問題」と訴えており、同団体は申し込みを奨励せず、組合員には裁判所に訴えるよう指導するという。
 保健省によると、17日現在の申込者は1万1701人(外国の医学部卒業者2335人、外国人915人)だが、実際に書類を送ったのが何人かは不明だという。
 プログラムの進行を妨害するため、申し込みだけしておいて後から辞退する〃ボイコット〃の動きもあり、パディーリャ保健相は、「医師を増やすためのプログラムを遅延させるサボタージュ(妨害行為)は、誰にもしてもらいたくない」と釘をさした。
 同省は、応募者が本当に関心があるかどうかを見極めて選考を行うとしている。申し込みの締め切りは今月25日。
 なお、サンパウロ連邦大学(Unifesp)は17日、医学部課程を6年から8年にする政策に反対の意を示す文書を出した。同大では既に学生をSUS(統一保健システム)病院で研修させており、変更不要という言い分だ。ただし、そのためのインフラ整備への投資は必要としている。