ニッケイ新聞 2013年7月24日
労働者党(PT)は2014年大統領選でジウマ大統領が一次投票で当選するのは厳しいと予測し、決戦投票に向けてジウマ大統領の主権の保持につとめることなどを話し合っている。23日付伯字紙が報じている。
20日、PTの全国理事会がブラジリアで開かれた。これは、ジウマ政権の支持率急落などを招いた6月のデモの影響とその対策について話し合うためのものだったが、ジウマ大統領は19日になって法王来伯時の警備体制についての閣議があり出られないと通達、結局不参加のままに行われた。党内にはルーラ氏の大統領再出馬を求める声も出ていた。
その際にまとめられた文書のひとつによると、PTは6月に全国規模で起こったデモを重く受け止め、あやふやになっていたPTの政治を改め、大衆の意向に沿う形で社会基盤を再構築する必要があるとした。経済問題に関する対策の必要性は特に強調され、「経済成長の鈍化が政治や社会に対しネガティヴな空気を及ぼしている」とした。
また、「議会や裁判所などの保守的な勢力がジウマ大統領の政策の障害となっている」との見方も確認された。
この文書はまだ党内の承認を受けていない。PT内最大派閥の「新しいブラジルを作る会」(CNB)内では左派の間でジウマ氏の経済面での失政や支持率急落を責める声が強く、意見が割れているため、8月の全国会議までに変更が加えられる可能性がある。
また、「ブラジルはもっと、より良いものを望む」と題する文書では、2014年の大統領選挙についての注意を促した。同文書では、名前こそ伏せたものの、PTとよく似たスローガンを掲げているエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党)が、次期大統選で、民主社会党(PSDB)や民主党(DEM)、社会大衆党(PPS)といった現在の野党とは別の勢力や社会グループを求める人々の声を集める可能性があると記している。
同文書ではジウマ政権が与えられた課題を果たしきれていないとの自己批判も行っている。
この文書は、PT党首のルイ・ファルコン派のグループによって出されたものだ。PT内では11月10日に次のPT党首を選ぶ選挙が行われるが、ここでファルコン氏が再選を果たすと、この文書がジウマ大統領の14年の再選に向けてのパラメーターになる可能性が強まることになる。現時点でファルコン氏の再選は有力視されている。