ニッケイ新聞 2013年7月24日
ブラジル日本都道府県人会連合会(園田昭憲会長)主催の『第16回日本祭り』では、今年も各県人会が自慢の郷土料理を出品した。
「関西風お好み焼き」を出品し、例年大きな行列が出来る和歌山(木原好規会長)は、昨年を上回る5千食を売り上げた。婦人部員25人で刻んだキャベツの量は、なんと500キロ超。
木原会長の妻で、婦人部長を務める恵美子さんは「もう手首が痛くて」と苦笑いしながらも、「皆でお喋りしながら、仲良く作業することに意味がある。これからも(野菜を刻む)機械は買わない」と笑顔。
北海道協会(大沼宣信会長)では、協会全体としてのメニューのほか、青年会「ヒグマ会」の独自メニューである「チョコフォンデュ」が出品され、用意した500食が完売した。
参加した会員は、10〜40代の若者50人以上。出席率はメンバーの9割以上だ。会長を務める藤田エリオさん(33、二世)に活況の理由を尋ねると「新しい入会希望者が来る度に、細かくしっかりと会の理念や協会のこれまでの歩み、役割を伝えるようにしている。賛同してくれる人が残るからこそ、結束が固い」と説明し、「今回も〃協会のお手伝い〃という消極的な意識ではなく、自分たちのイベントだという積極的な姿勢で取り組めている」と満足げに話した。
婦人部が腕によりをかけて作った香川(菅原パウロ会長)の讃岐うどんは、日本から輸入したこしのある麺に昆布やカツオで取った出汁が本格味。「昨年食べておいしかったから」と常連客が足を運んだ。大ぶりの海老が乗った天ぷらうどん1500食は二日で、揚げの味付けも絶妙なきつねうどんも最終日の午前中に完売、計2千食を売り上げた。
毎年県連から出展を勧められながらも、「手伝う人がいないし、何を出していいかも…」と不参加だった神奈川(永田淳会長)は、モジ市に住む会員が「日本祭りで売ったら好評だった」と勧めたのがきっかけで、昨年から中国系食品会社から仕入れた肉まん(牛、豚の2種)を販売。同会員の子どもやその友人ら2〜30人が訪れ、活気溢れるブースとなった。3千個を完売し、白又孝範監査は「予想通りの売れ行き」と顔をほころばせた。
日本祭りが始まって以来、鹿児島(園田昭憲会長)が出品している優しい甘みの「かるかん饅頭」は、山芋や米粉などを原料に、手間隙かけて作られる同県の特産品。「懐かしい」と、薩摩あげとともに同県系人の郷愁を誘った。
一方で、静岡(杉本教雄会長)は名物の「うなぎの蒲焼」を出品出来ない残念な結果に。杉本会長によれば、例年輸入業者を通して購入するうなぎが、世界的な不漁の影響でまとまった量を用意することが出来なかったという。
「直前まで粘ったのだけど…。楽しみにしてくれていた人に申し訳ない」とため息をついた杉本会長。ブースではぜんざいが販売されたが、手伝いに参加した奈良橋みゆきさん(83、静岡)も「(うなぎがないのは)やはり寂しい。残念です」と肩を落としながらも来年に期待していた。