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経常収支=赤字額が過去最大の水準に=上半期に435億ドル=外国直接投資額を上回る=ドル高でも旅行者の支出増

ニッケイ新聞 2013年7月25日

 輸出の伸び悩みと輸入拡大、外国籍企業の利益送金などが増えた事などで、上半期の経常収支赤字が昨年同期より72%増え、過去最大の434億8千万ドルに達したと24日付フォーリャ、エスタード両紙が報じた。従来は赤字分を外国直接投資(FDI)でカバーしていたが、今年はそれが通用しないようだ。

 ブラジルの経常収支は、07年上半期に24億ドルの黒字を計上して以降、赤字が続いてきているが、今年上半期の赤字が昨年同期の252億4千万ドルから434億8千万ドルへと200億ドル余り増えた最大原因は、貿易収支の悪化だ。
 ブラジル貿易会(AEB)が今年の貿易収支は20億ドルの赤字で終わるとの見通しを発表した事は18日付伯字紙(本紙では19日付)既報だが、上半期の貿易収支は31億ドルの赤字。昨年同期は71億ドルの黒字だから、それだけで102億ドルの差が生じた。
 貿易収支の悪化には、ブラジルからの輸出の柱である鉄鉱石や穀物、砂糖などのコモディティの価格低下や、石油関連の派生品輸入増加などが大きく影響している。
 また、外国籍企業が本国に対して利益を送金したり、ブラジルの多国籍企業が国外で生じた負債の利子を返済したりするための外国送金は、昨年上半期の100億ドルから141億ドルに、41億ドル増加した。
 ブラジルからの旅行者が国外で支出する費用も記録更新中で、外国人旅行者の国内での支出額との差は6月に月間新記録の15億ドルを記録、上半期の累積額も、昨年同期の72億ドルから88億ドルに膨らんでいる。中央銀行は、最近のドル高レアル安傾向で外国旅行者の国外支出は頭打ちになると見ているが、この項目の動向変化は緩やかで、経常収支の赤字解消への貢献度は小さい。
 一方、従来は経常収支の赤字を埋めるのに十分だったFDIは、昨年上半期の297億ドルに対して300億ドルと微増したのみで、200億ドルも増えた赤字をカバー出来なくなっている。中央銀行は今年のFDIは650億ドルに達すると見ているが、現在の経済政策のままでは、貿易収支がさらに悪化したりして経常収支の赤字額が増える可能性は強い。
 コンサルタント会社のローゼンバーグ社は、直近12カ月の経常収支赤字累計額724億6千万ドルは、年末には800億ドルに膨らむと予想。HSBC主任エコノミストのアンドレ・ロエス氏も、今年の経常収支赤字額の見通しを752億ドルから783億ドルに上方修正した。外国からの投資を誘致するための調査機関Brain主任調査官のアンドレ・サコナト氏も、現在の経常収支の赤字は国内総生産(GDP)の3%程度だが、年末には4〜4・5%に拡大すると見ている。