ニッケイ新聞 2013年7月27日
リオ〜サンパウロ〜カンピーナスの3市をつなぐ高速鉄道(TAV)入札は、8月16日までに書類提出(応札)、9月19日に落札者発表の予定だが、最有力候補の一つであるスペインが24日の事故で枠外となる可能性が高くなったと26日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。
問題の事故は、マドリードからフェロル行きの高速鉄道が、サンティアゴ・デ・コンポステラ駅手前のカーブに時速190キロ(規定では時速80キロ)で進入して脱線したもので、26日現在の死者は78人に達しており、その中にはラ米出身者が最低3人(メキシコ人1人とコロンビア人2人)含まれていた事も判明している。
高速鉄道を運営している公団のレンフェは、TAV入札に強い関心を表明している企業連合でも最有力候補とされるスペイン勢でInecoとCAFと共にコンソーシアムを組む予定だった。
スペイン系の企業連合は、フランス系と並んでブラジルTAVに強い関心を払っている2大グループを構成しているが、TAVに応札する企業連合には、5年間死者の出る事故を起こしていない鉄道運営会社を含むという規定がある。2011年に死者33人、負傷者190人が出た事故を起こした中国企業はこの規定により枠外になっており、レンフェも応札資格を失う可能性が大きい。
TAVの入札では、ドイツのシーメンスがサンパウロ市や連邦直轄区の地下鉄と電車の入札で不正が行われていた事を暴露した事や採算性の問題などで、技術力の高い日本や韓国などが参加を見合わせる可能性が高い。19日付フォーリャ紙には、八つの企業連合の内七つが書類の不備などの理由で第1次審査失格となり、イタリアのイタルフェルとブラジルのジェオダッタからなる企業連合だけが残ったという報道もあった。応札は8月16日までで、失格とされた企業も再審査を申請出来る。
なお、ブラジル外務省が26日、スペインでの列車事故で、ブラジルとスペインの二重国籍を持ち同国で暮らしていた男性1人の死亡を確認と発表した。