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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年6月1日

 近頃、「クールジャパン」というのが,新聞やマスコミによく登場する。当方のような熟年に達した語学音痴には、どんな意味合いなのかさっぱりわからない。そこで覚えたてのパソコンに問い掛けるのだが、こちらは物凄くカタカナ語が多く、今更ながら横文字の氾濫に悲鳴を上げている。この「クール」は、洗練された、感じがいいやかっこいいの意味なのだそうな▼漫画の動画である「アニメ」や民芸品などの輸出が年間に5兆円超に達しており、日本の政府としても「クールジャパン」の運動を広げ、紀州の根来塗りや博多人形などの伝統文化をもっと輸出したいと頑張っているそうだ。内閣にも推進会議(議長・稲田朋美担当相)があり、活発な議論を展開し、海外進出の戦略を練っている。来月にも国が500億円を拠出し「基金」を設立し、国際的な動きに力を入れる▼推進会議の行動計画によると、日本食だけではなく日本酒や日本製スイーツ(お菓子)、農産物をも含めて輸出環境の整備を図ると明記している。つまり、一般大衆が広く愛好する文化(ポップカルチャー)を海外の国々に紹介しながら販売に結び付けるという戦略であり、和食に詳しい料理人らを「食の伝道師」として海外に派遣する方針も決まった▼雅楽や薪能、歌舞伎のような古くから伝わる文化を海外で公開するのも大切なことだが、庶民が暮らしの中で親しむさりげない民芸の品々の紹介に大きな意味があり、きっと外国の人々も肝銘するに違いない。こんな運動を通じ世界の人々に—諸文化の相互理解に繋がれば幸いである。(遯)