ニッケイ新聞 2013年6月14日
ジウマ大統領が12日、連邦政府の持ち家政策〃ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ(MCMV)〃で家屋を購入した人々が家電製品などを購入するための低金利の融資の導入を発表したと13日付伯字紙が報じた。発表時には、現行の経済政策では経済活性化には不充分とする野党側を悲観主義と批判する場面も見られた。
MCMVはジウマ大統領が官房長官時代に創設されたプログラムで、MCMVを利用して家を購入した家族と2014年までの購入を申し込んでいる家族を合わせれば、375万家族が新しい融資の対象となる。
今回発表された〃ミーニャ・カーザ・メリョール(MCM)〃は、これらのMCMV利用家族が家具や電化製品を買うための経費を、5千レアルを上限として貸し付けるという案で、最大48カ月で返済、金利は年5%という破格の条件だ。この融資の利用資格は、MCMVで購入した家の鍵を受け取っている事で、既に家を購入した人は今すぐ、これから購入する人も鍵を受け取った時点で、連邦貯蓄銀行(カイシャ・エコノミカ・フェデラル)に専用のカードを申請出来る。
購入できる家具や電化製品は、冷蔵庫1090レ、洗濯機850レのように項目毎に上限が設けられているが、手で絞らなければならないタンキでなく、全自動洗濯機を持つ事が出来れば女性が楽になるといった説明もなされた。
MCMはマンテガ財相が当面は消費促進型の経済刺激策は取らないと発言した直後に発表され、支持率低下に危機感を覚えたジウマ大統領が女性や低所得者の支持を回復するためにとった政策と見られている。MCMに必要な資金は現時点で80億レ、総額187億レに及ぶため、税収が落ちている中での実施を危ぶむ声もあるが、政府関係者は、MCM導入で基礎収支(歳入と歳出の差で公的負債の返済資金となる)残額が不足する事はないと発言している。
MCM発表時には、ルイス・デ・カモンエスの古典作〃オス・ルジアダス〃の登場人物の名前を使って、自政権の経済政策を批判する野党や経済学者を悲観主義となじる場面も見られた。
「年頭に広域停電などが起きると予言した輩もいたが当たらなかった」という表現で攻撃されたのは民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス上議ら。アエシオ氏は「(大統領は)支持率低下で神経質になっている」とした上、現状を正しく分析し、国の行くべき方向をきちんと示すべきと苦言を呈した。
もう一人の大統領候補であるエドゥアルド・カンポス・ペルナンブコ州知事は、消費を促すやり方は効果が出るのも早いと評価した上、「経済閣僚達は今の政策だけでは不充分な事を知っているはず」とコメントした。カンポス氏は、選挙前に候補者らを集めて国の現状などを話し合ったカルドーゾ元大統領の例に倣う事も勧めている。