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IHI等の日本企業連合=ブラジルの海洋事業に出資へ=2万700億レを支出

ニッケイ新聞 2013年6月14日

 IHI(旧石川島播磨重工業)、日揮、IHIの持ち分法適用関連会社のジャパンマリンユナイテッド(JMU)の3社が共同で、ペルナンブコ州のアトランチコ・スール造船(EAS)に出資する。12日にIHIが発表、13日付エスタード紙が報じた。
 3社がリオに立ち上げる特定目的会社「ジャパン・EAS.インヴェスチメントス・エ・パルティシパソンエス」を通じて行われる出資額は2億700万レ(約97億円)で、出資比率は25%。内訳はIHIが60%、JMUが15%、日揮が25%で、同社は半年から1年以内に資本を約33%まで買い増したい考えだという。主要株主でゼネコン大手のカマルゴ・コレアとケイロス・ガルボンは各々の出資額を50%から37・5%に減らすことになる。
 同社の発足は今月下旬の予定で、13日付ヴァロールエコノミコ誌(電子版)によれば27、28日のジウマ大統領の訪日に合わせ、日本で正式に両社の署名が交わされる見込みだという。
 日本側は当地での海洋資源開発、特に岩塩層下の石油開発(プレサル事業)に力を入れたい考えで、エスタード紙は「これまでIHIは(EASの)助言役でしかなかったが、これからは事業に参画していく」と報じている。同社社長に就任するIHI・ド・ブラジルの今井修己社長は、同紙の取材に「我々の技術やノウハウを提供し、EASの世界での競争力を高めたい」と語っている。
 世界では昨今、石油、天然ガスの需要増大を背景として、海洋資源開発のための海洋構造物、プラントへの投資が増加しており、ブラジルが持つ世界屈指の海洋資源開発に対する投資は、特に注目を集めている。
 EASは、当地の海洋産業の振興を目的にBNDES(国立経済社会開発銀行)が融資して設立された会社で、現時点では、大型の船舶、海洋構造物を建造できる国内唯一の造船所だ。ペトロブラスとも石油資源開発用ドリルシップやタンカー等を受注するなど密な関係があるが、2007年からは生産性の低下に悩まされ、納品の遅れなどが生じるようになっていた。一昨年は14億7千万レ、昨年は1億3800万レの赤字だった。
 今井社長によれば、2012年4月に技術面で協力を要請され、同年7月から技術者30人を派遣して指導を行っていたが、EAS側からの要請で、最初の交渉から一年余を経て、共同経営者の一人として参画する合意が成立した。今回の出資で、日本側はEAS理事会や経営審議会に役員を送り込むことになる。
 IHIは1958〜94年、イシブラス造船所として造船事業を展開していたがその後撤退、2010年末に再びブラジルに進出している。