ニッケイ新聞 2013年6月15日
アレシャンドレ・パディーリャ保健相は12日、下院の公聴会でブラジルとポルトガル両国が、双方の国で得た医学部卒業資格を有効にする協定締結に向け、協議を進めていると明かした。12日付G1サイトが報じた。
合意が成立すれば、ポルトガルの大学の医学部を卒業した医師が、ブラジルでも卒業資格認定試験を受け直すことなく医療行為を行うことができ、その逆も可能になる。
ブラジルでは、政府の投資や医師不足などのために地方を中心に全国的な医師不足が起き、保健医療が十分に行なわれていないのが現状だ。連邦政府は現在、外国人医師を招聘して初期医療の充実を図ることを検討しており、本件はその戦略の一部だ。
パディーリャ大臣はこの件について、10日にポルトガルのパウロ・マセード保健相と協議しており、今後は、スペインやポルトガルなどから、同地で医学部を卒業した医師を招き、地方や都市部近郊での医療行為に従事してもらえる体制を整える見込みだという。
パディーリャ大臣は「国民は、今の医師不足の状態に6年、8年、10年も耐えられない。保健省は医師の数を増やすために、〃ありとあらゆる戦略〃を採用する」と強調している。同大臣によれば、米国や欧州では人口1千人あたり2・5人、特にスペインでは4人の医師がいるが、ブラジルには1千人あたり1・8人の医師しかいない。
同大臣は、諸外国のうち特にスペインとポルトガルの2国を優先的に考えている理由として、文化的に近いこと、両国政府が医療への予算を削減したために、スペインでは2万人の医師が失業する可能性があることを挙げている。