日本移民１０５周年に寄せて＝外務大臣　岸田　文雄

ブラジル日本移民105周年

ニッケイ新聞　２０１３年６月１５日

　ブラジルにおいて「移民の日」を迎えるに当たり、ブラジルで生活をされている日系人の皆様に心からお祝いを申し上げます。
　日本人が遠く離れたブラジルの地に初めて移住してから今年で１０５年、また明年は日本ブラジル修好１２０周年と、両国関係の節目を迎えます。現在ブラジルの日系人社会は世界最大、約１５０万人と言われておりますが、日系人の皆様がブラジル社会に溶け込み、ブラジルの発展に大きく貢献してきたことは、ブラジル社会も認めるところであり、事実、ブラジルの各界で多くの日系人の方々が活躍されていることに、私は強い誇りを感じるとともに，敬意と感謝を表したいと思います。
　ブラジルに世界最大の日系コミュニティがあることに加え、日本にも現在２０万人のブラジル人コミュニティがあり、日本とブラジルは，両国を結ぶ人と人とのつながりに支えられております。日本ブラジル関係はまた、両国間でこれまで数多くのナショナルプロジェクトが実施されるなど、長い歴史に裏打ちされた、重層的な関係と言えます。
　現在、豊富な資源、民主主義と法の支配に基づく安定した体制、そして今後数年間継続して世界的な大規模イベントを開催することへの期待感から、世界はブラジルへの関心を高めています。そして日本からも、近年ブラジルへ進出する企業数は増加傾向にあるなど、官民の幅広い層がブラジルに目を向けています。
　全世界的課題に目を向けて見ても、昨年、国連持続可能な開発会議（リオ＋２０）がブラジルで開催されたことは、ブラジルがそうした課題にも積極的に取り組んでいることの証であります。日本とブラジルは、環境問題にとどまらず、国連改革、人権といった諸課題においても協力関係にあり、我が国は、国際場裏で存在感を増すブラジルとの関係を、ますます強化させていきたいと考えています。
　今や日系社会は６世代にもわたります。皆様の先人の努力によって築き上げられた日本とブラジルの友好関係を、今後も更に強く、広がりを持ったものにしていくために、私たちが、新しい世代の日系人の方々と、共に力を合わせていくことが不可欠であると考えます。そして、日本とは地球の反対側にあるブラジルが、世界で類なき親日国であり続け、両国の絆が更に強いものになっていくことを期待しています。
　改めて移住１０５周年における移民の日にお祝い申し上げますとともに、皆様の更なる御活躍と日系社会の発展を心からお祈りいたします。