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新たなパートナーシップ=ブラジル日本商工会議所 会頭 藤井 晋介

ブラジル日本移民105周年

ニッケイ新聞 2013年6月15日

 ブラジル日本移民105周年記念日を迎えるにあたり謹んでご挨拶を申上げます。
 笠戸丸で日本移民がサントス港に降り立ってから105年を迎えました。先人の方々の絶え間ないご努力が多方面で実を結び、成長の一翼を担ったことで、この一世紀でブラジルは世界第6位の経済大国になりました。近年IT革命やグローバル化が進み、BRICsなど新しいパワーの台頭により、世界は新たな秩序を模索しており、日系移民の方々が一世紀かけて築いてこられたブラジルと日本の関係は、両国の更なる発展のために益々重要となっています。
 日本は〃アベノミクス〃を掲げ、新たな成長戦略を模索し始めましたが、好調な消費者市場、豊富なエネルギー・天然資源や食糧資源など多様なポテンシャルを持つブラジルは、従来に増して日本企業の注目を集めています。実際に日本企業のブラジル進出は顕著な増加傾向にあり、商工会議所の会員数も今年前半で1990年のピークをすでに上回っています。
 これら日本企業の進出にとって大きな礎となるのが日系社会および日系人の方々であることは言うに及びません。企業、政財界、学界でも多くの方々がご活躍されています。105年に亘る移民の歴史とその財産とも呼べるプレゼンスに、移民の日を迎えられるこの日、敬意とともに感謝の意を表します。
 ブラジルにとっても今年は大きなチャレンジの年です。潜在成長力を発揮するためのインフラ投資が本格化しており、最近では港湾への民間投資促進法案の可決や久し振りに石油ガス上流権益の入札が実現しました。
 こうした中、ブラジルとしても日本との新たなパートナーシップへの期待が高まっているとひしひし感じています。
 新たな協力関係には、人材育成・交流も含まれます。ブラジル政府は、科学技術や競争力の強化を狙って約10万人の理系学生を外国留学させる「国境無き科学」計画を推進しており、日本も今年から本格的に留学生受入れを行ないます。商工会議所参加企業も複数社が留学生のインターン受入れを表明し、同計画をサポートしています。
 グローバル化が進む国際社会では、戦略的提携、優秀な人材なくして成功はありえません。最近では、日本に留学し就職を経験した方が帰伯され、ブラジル進出日本企業へ就職するケースも多く見られます。ブラジルとの人材交流は、日本企業の人材グローバル化にも寄与する、日伯間の新たな相互協力の形といえます。
 日伯間でもまだまだ改善すべきビジネス環境の課題は残っています。但し、日伯社会保障協定の締結、商用マルチビザの3年への延長、また在日本ブラジル総領事館によるビザ発行迅速化など、日本企業また日伯間の留学生・研修生を取り巻く環境は確実に改善の兆しをみせています。
 5月には、茂木経済産業大臣が来伯され、ピメンテル開発商工大臣他との間で日伯間の貿易投資並びに産業連携の強化が約束されました。我々商工会議所も日本とブラジルの益々の関係強化、益々の交流促進にむけ活動を続けていく所存です。
 引き続き日系社会の皆様にはご支援、ご協力を賜りますようお願い申上げます。