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ハダジ市長への不満爆発=新たなデモに5万人集結=支持率は2カ月で低迷=市役所攻撃や商店略奪も

ニッケイ新聞 2013年6月20日

 サンパウロ市でのバス料金値下げ要求を発端とした6度目となるデモは18日もサンパウロ市セントロで起き、ダッタフォーリャによれば5万人(市や軍警の発表では1万人)の市民が集まった。19日付各伯字メディアによると、今回は市役所前でハダジ市長の写真を貼り付けた人形が焼かれ、市役所に侵入しようとした参加者がいた他、周辺の商店略奪などで30人以上が逮捕される騒ぎとなり、市長への不満が如実に現れる形となった。

 10日付フォーリャ紙によれば、ダッタフォーリャが6月6、7日に行なったサンパウロ市政に関する調査では、「良い/最高」と答えた人が今年4月の31%から34%に増えた一方、「悪い/最悪」と答えた人は14%から21%に7%ポイント、「期待以下」と答えた人は49%から58%に9%ポイント増えた。
 19日付エスタード紙によれば、大統領府内部では「PT(労働者党)は若者だけでなく社会運動家らもコントロールできなくなっている。全体的な不満がジウマ、ハダジの両方のイメージを悪くしている」との見方があるという。
 今回のデモ参加者は午後5時前にセー広場で集まり、パウリスタ大通りと市役所へ向かう二手に分かれたが、市役所の前の雰囲気は、午後6時半頃から一変した。
 市役所前に集まった参加者らは、市警備隊(GCM)が築いたバリケード前で、ハダジ市長の写真を貼り、アウキミン州知事を示すPSDB(民主社会党)の文字を書いた人形に火をつけたりしたが、その後、一部の参加者がバリケードを突破し市役所侵入を試みた。危険を感じたGCMが市役所の中に退避すると、ガラスを割る、石を投げるなどして建物を攻撃。ハダジ市長はジウマ大統領やルーラ前大統領と本件に関する解決策を協議するため既に建物を出ていたが、複数の職員が管内に閉じ込められた。
 暴徒化した参加者は、市役所周辺でレコルデTVの中継車放火や銀行の建物破壊などの暴挙にも及び、衣料品店や家電販売店、宝石店等を襲って商品を奪う、市立劇場に落書きするなどの犯罪行為も発生したため、午後10時頃に軍警の機動隊が出動し、少なくとも30人が逮捕された。
 一方、パウリスタ大通りになだれ込んだ一行は平和的な雰囲気でデモを行なっていたが、ここでもアウキミン知事とハダジ市長の長い鼻がつながった絵を掲げ、現政権への不信感をあらわにする参加者がいた。パウリスタ周辺の雰囲気はその後再び一変し、午後11時頃にはアウグスタ通りで爆竹が鳴り響き、軍警の機動隊が出動した。
 ハダジ市長はその日の午前、デモの火付け役となったMPL(無料乗車運動)の主導者らと共に公聴会に参加し、バス料金見直しの可能性に初めて言及した。その場合は2016年までに80億レの赤字となり、バス会社への補助金が増えるため、他の部分の税金が増える可能性があると説明した。検討結果は21日までに発表する予定だ。
 同様のデモは17日は12州に広がり、18日には全国5市がバス料金値下げを発表している。