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百万人に膨れ上がるデモ=バス賃値下げでも収束せず=全伯75市で「民衆は目覚めた!」=大統領府も襲撃対象に

ニッケイ新聞 2013年6月22日

 各地でのデモはサンパウロ市、リオ等の都市でバス賃値上げ撤回が宣言された翌日の20日も続き、全伯では100万人以上が抗議行動を繰り広げた。21日付エスタード、フォーリャ両紙などが報じた。デモがあったのは少なくとも23州75市(フ紙は100市以上と報道)で、9都市では議会、政府、裁判所の建物が襲撃されるなど、三権への不信感があらわになった。このデモで、少なくとも全国で77人が負傷した。

 19日、サンパウロ市をはじめ全国12州都を含む各地方政府がバス賃値下げを宣言したが、市民の要求は多岐にわたり、デモが収束する様子はまったく見えない。
 20日夜、最も被害が顕著で象徴的だったのはブラジリアで、3万人が集まった。一部デモ隊が大統領府や議会などへの侵入を試みたため、軍警3500人が出動して催涙ガスやスプレーなどで鎮圧を図り、エスプラナーダ広場は混乱に陥った。この混乱で、イタマラチー宮(外務省)のガラスが割られ、柱への放火も起きた。破壊行動は中央銀行やメトロポリターナ聖堂にも及び、省庁の壁も落書きされた。
 リオでは中心部にこれまでで最大の30万人が集まった。最初は平和的な雰囲気で始まったものの、市役所前でデモ隊と軍警が衝突。混乱は市の中心部から南部まで広がり、テレビ局の中継車への放火や商店強奪などが起き、少なくとも55人が負傷した。
 フォルタレーザでは5千人のMPL(無料乗車運動)のメンバーがデモを行い、2・20レから2レへのバス賃引下げを求めた。その後、一部が州政庁侵入を試みたため軍警が出動、61人が拘束された。
 ベレンでは1万5千人が集まり同じくバス賃値下げを要求し、市役所侵入を試みたデモ隊と軍警が衝突。サルバドールでは2万人が集まり、バスへの放火などの暴動が起き、ナタールでも1万5千人がデモを行なった。
 サンタカタリーナ州では39市、10万人(州都フロリアノーポリスは3万人)の市民が街に出た。1万5千人集まったポルト・アレグレではデモ隊が「ルーアに出ろ」「民衆は目覚めた」などと叫び、一部が銀行や商店を襲撃、4人が負傷、20人が拘束された。
 一方サンパウロ市では、パウリスタ大通りに約11万人が集まり、軍警も出動せず平和的な雰囲気だったが、無党派を表明する一部参加者と、PTなど左派政党信奉者との間で激しい衝突があった。
 PT党員が旗を持ってデモ隊に入ると「オポルトゥニスタ(ご都合主義者)、メンサレイロ」などと非難の怒号が飛び、追放される場面があったほか、党旗を破るなど敵意を剥き出しにする人もいた。この動きについて一部専門家は、「民主社会では望ましくない空気に変わってきている」と分析している。
 ジウマ大統領は一連のデモ行動を受け、21日のサルバドール訪問と今月下旬に予定されていた訪日をキャンセルした。20日は大統領府の建物が初めて直接の攻撃対象となったこともあり、21日に側近の閣僚達を集めた緊急対策会議を開いている。