ニッケイ新聞 2013年6月25日
18〜19日の米国連邦準備制度理事会(FRB)でベン・バーナンキ議長が米国経済は堅調に成長と発言、現行の大幅な量的緩和を年内に終わらせる可能性を示唆したため、為替や証券市場で世界的な変動が起きている。為替は食料品価格上昇と共にインフレ圧力を高める要因となる可能性があり、ブラジル経済の加速は遅れそうだと22〜24日付エスタード紙やG1サイトが報じている。
22日付エスタード紙によれば、ブラジルの為替市場は5日間ドル高レアル安傾向が続いた後、21日に0・66%下げ、1ドル=2・244レで終えたというが、24日10時過ぎは1ドル=2・25レを超えている。19日に09年4月27日以来の高値となる1ドル=2・2205レで終えた後も、20日の中銀の市場介入発表がFRBの量的緩和停止が近い証拠と理解され、2・275レまで上がったりした結果、21日までのドル価は6月に4・52%、今年に入ってからでは9・73%上昇した。
また、ドル高レアル安と並行して起きているのは、サンパウロ証券市場(ボヴェスパ)の指数イボヴェスパの下落で、19日に09年4月以来の4万7893・06ポイントと報じられたが、21日も前日比2・4%低い4万7056ポイントで終え、24日正午過ぎは、それより3・03%低い4万5628ポイントまで下落した。
ドル高レアル安はブラジル企業の製品を輸出するのを助けると見るむきもあるが、輸入品価格の上昇は避けられないため、部品調達を輸入に頼る企業にとっては両刃の剣だ。
23日付エスタード紙によれば、輸入部品の割合が高いテレビ価格は6月前半に1・3%上昇、利益率も落ちており、更に値上がりする可能性がある他、コンピューターなどの電子電気機器も値上がりの可能性が強い。
また、6月前半の消費者拡大物価指数(IPCA—15)は0・38%の上昇で0・46%だった5月よりやや下がったが、過去12カ月間の累積は6・67%で、政府目標の上限の6・5%を突破した。物価を押し上げているのは食料品で、国際相場の影響を受けた大豆の卸値が30日間に9・3%上昇。小麦や牛乳とその派生品、収量が予想以下だった米やフェイジョンなども値上がりし、小売価格がキロ6レを超えたフェイジョンは24日に輸入関税の免税処置がとられた。
22日付エスタード紙は、5月の解雇者数は新記録で、新規採用が7万2028人分上回ったものの、雇用創出数は今年の最低。5月としても1992年の2万1533人以来の低い数値と報じている。収穫期だった農業が3万3825、サービスが2万1154の雇用を創出したが、工業は1万5754増に止まった。8部門中、唯一の雇用減は建築で、1877人のマイナスとなった。
市場関係者の中では、今年の国内総生産(GDP)は2%以下の成長で終わると予想する声も出始めているようだ。