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上院が汚職を重犯罪の1つに=議会審議が一気に加速=大統領の態度に不満の労組=〃国民の声〃いつまで?

ニッケイ新聞 2013年6月28日

 【既報関連】25日の下院が、検察庁の捜査権を制限する憲法補足法案(PEC)37を否決したのに続き、26日の上院が贈収賄や公金横領などを重犯罪に定める法案を、下院の憲政委員会が議員権剥奪を公開投票で決めるための法案を各々承認したと27日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。

 全国に拡大した〃抗議の波〃が国民の不満や要求表明の場となった事で、政府の対応や上下両院の議会審議が驚くほどの速度で動き出した。
 25日の下院が、〃抗議の波〃以前は承認間違いなしと思われていたPEC37を9対430の絶対多数で否決した後、26日も数年来審議が停滞していた法案が瞬く間に議決され、国民の声に応えるための法案の審議加速化という両院議長の約束が遂行されている。
 26日に審議された法案中で最も注目されるものの一つは、上院が承認した贈収賄などの汚職を重犯罪とする法案だ。メンサロン事件始め、政治家などのホワイトカラーと呼ばれる階層の犯罪が次々に明るみに出た事で、汚職に対する国民の関心が高まった事が〃抗議の波〃の中でも明らかになり、上院は上程から2年2カ月経った法案を即座に承認した。
 ワイシャツを着る人々を労働者と対比し、〃ホワイトカラーの犯罪〃とされる汚職を重犯罪とし厳罰化する法案はいくつもあり、26日の上院は民主労働党(PDT)のペドロ・タッケス上議が出した法案を審議・承認した。新しく重犯罪と認められたのは、贈収賄や許容範囲を超えた報酬や便宜要求などの職権乱用、公金横領などで、最低刑期も2〜3年が4年に引き上げられた。
 また、下院の憲政委員会が承認した連邦議員の議員権剥奪に関する法案は、上程から5年9カ月を経て承認され、今後は特別委員会で審議の後、本会議に回される。
 下院では26日未明、22年前上程された国から州に払われる資金の分担に関する法案を一部修正後に承認、同法案は26日に上院も承認、大統領裁可を待って、2016年から発効の予定だ。6年1カ月前出されたコンフェデレーションズ杯と来年のW杯に向けた通信・情報サービスに関する費用としての4300万レアルの払い出し中止も承認された。
 他方、ジウマ大統領は26日、5大労組の代表と会合を持った。国民の声を為政に反映と約束して労組側と会った事は前進だが、会合ではジウマ大統領が一方的に話し、労組側に「労働者の声を聞くために呼んだのではなく、抗議行動対応策を話しただけ」「政府側の意向の押し付け」といった不満を残した。要求は聞いてもらえなかったと感じた労組側は、7月11日のゼネスト決行の姿勢を崩していない。
 大統領は27日も連立与党や閣僚と国民投票に関する話し合いを続けているが、国民は今後、政府や議会などが国民の声に応えようとし続けるかを見守り、自分達の声を届け続ける必要がある。