ニッケイ新聞 2013年6月29日
一昨年3月11日にあった東日本大震災以降、被災地への継続的な支援活動を行っているツノダヒロカズさん(50、千葉)が23日、岩手県人会で講演会『被災地報告会』を行った。
サッカー日本代表チームの応援団「ちょんまげ隊」が中心になってつくる被災地支援団体「ちょんまげ支援隊」の代表を務め、これまでに国内外100カ所以上で講演活動を行っている。
40回以上通う被災地で撮りためた映像を使い、2年間での復興の様子やこれまで行ってきた支援活動について説明。「震災後4カ月経った時点で、応援の手紙が2通しか届いていなかった」という宮城県牡鹿半島の凄惨な津波の傷跡が映し出されると、目に涙を浮かべる参加者の姿も多く見られた。現在も復興が進まない地域も映像で紹介された。
「どれだけ深刻な状況に置かれても面白いことがあれば笑ってくれる。1年のうち1日でもそういった日を増やしたい」との思いから始まった被災者を招待するサッカー観戦ツアーの様子を上映しながら、「皆さんだったらどう盛り上げますか」「こういったことがヒントになります」などと参加者に語りかけ、「『可哀相な人たち』と他人事に考えるのではなく、少しでも当事者意識を持ち続けることが大事」と訴えかけた。
最後には、6億円の義捐金を集めた日系社会を含め、ブラジルに向けた感謝を示すメッセージビデオが流され会の幕が閉じた。
福島や宮城県に居住経験のある丹治エジソンさん(51、二世)は「(東北地方は)親戚も住む自分にとって特別な場所。改めて復興に向け何か協力したいと思った」と感想を語った。
講演を終えたツノダさんは「客観的な情報を伝えることで、バトンを渡せた。ブラジルで積極的に動こうとする人が一人でも増えれば」と期待を込めて話した。