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サンパウロ市地下鉄=低所得者層の利用が増大=高所得者層は離れる傾向

ニッケイ新聞 2013年5月7日

 サンパウロ市地下鉄では低所得者層の利用が増大し、高所得者が離れていく現象があると6日付フォーリャ紙が報じている。
 サンパウロ市地下鉄は2012年、7320人を対象に所得層別の利用者状況を調べた。同様の調査は2001年にも行われており、その際は最低賃金の4倍までの所得者層が全体の46%で、8倍までの層が31%、8〜15倍が15%、15倍以上が8%あった。
 だが、12年は最低賃金4倍(月給2712レアル以下)の層が利用者の4人に3人にあたる75%に拡大。一方、最低賃金4〜8倍(5424レアル)以下が18%、8〜15倍(1万170レアル)以下が6%、15倍以上が1%に急落した。特に01年はあわせて23%だった8倍以上の層は今回の調査ではわずか7%になった。
 この変化について、地下鉄の顧客対応部門主任のセシリア・ゲディス氏は「所得向上でこれまでは恩恵に預かれなかった人たちの利用が増えた」と見ている。また「大サンパウロ市圏在住の利用客も増えた」と報告。このことは利用者の通勤時間の伸びでも裏づけられる。01年に地下鉄を含む公共交通機関の乗車時間が片道90分以上の人は18%だったが、12年は25%に増えていた。
 地下鉄の利用をやめて乗用車での通勤に切り替えた人たちは、「ピーク時に長蛇の列が出来て乗車が遅れる」「混雑時の満員電車の不快感」などを理由にあげている。これは地下鉄が本来、渋滞に巻き込まれやすい乗用車やバスにない利点を持ったものであることを考えると皮肉な結果だ。また、車両内で他の乗客を無視した身勝手な行為が見受けられることもあるという。
 今回の調査は1〜3号線、5号線を対象に行われたが、どの線でも概ね同じような結果になっている。