ニッケイ新聞 2013年5月11日
ハダジサンパウロ市長が、都市開発を理由にサンパウロ市北部のカンポ・デ・マルテ空港でのヘリコプター以外の飛行機の運行差し止めを空軍に願い出た。9日付伯字紙が報じている。
カンポ・デ・マルテ空港は1920年に建設されたサンパウロ市初の空港だが、コンゴーニャス空港やグアルーリョス空港などに押され、ヘリコプターや商業貨物などの小型機用に利用されている。
だが、200万平米もある広大な敷地の存在が北部の発展の妨げになるとしてハダジ市長は同空港の存在を問題視し、空軍の空域管制局(Decea)に、同空港でのヘリコプター以外の飛行機の運用を停止するよう嘆願を出した。
「この地域は新たな都市開発計画に使いたい。ここが開ければ、北部の開発と生活の質の向上につながる」とハダジ市長は語る。空港のあるチエテ川以北は「アルコ・ド・フトゥロ」という都市計画の対象地域で、2020年の万国博覧会招致がかなえば、大きな目玉のひとつとなる。
Deceaの返答はまだだが、飛行士や利用者の多くは機能縮小に反対で、ある飛行士は「ここがつぶれたら、サンパウロ市は商取引など多くのキャパシティを失ってしまう」と反論する。同空港からは全国1千市以上をつなぐ140路線が定期運行し、年間運行便数は14万3千便。この数字は、サンパウロ州カンピーナスのヴィラ・コッポス空港の11万5千便を上回る。
これに対しハダジ市長は、カンポ・デ・マルテに代わる空港を大サンパウロ市圏に二つ造りたいとしている。カンポ・デ・マルテは国とサンパウロ市が所有権をめぐって50年以上争っている場所で、その用途をめぐっても、1997年には公園化、09年には高速鉄道の駅、11年には地下鉄4号線の駅建設案など、長年議論が続いている。