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北東伯に育つ地場産業=建設や鉱業伸び出稼ぎ減=南東伯は季節労働者不足

ニッケイ新聞 2013年5月14日

 50年来という大干ばつに悩む北東伯で建設や鉱業などが活性化し、南東伯や南伯、中西伯では北東伯からの季節労働者の調達が困難になっていると12日付エスタード紙が報じた。
 地元に働き口がなく、糊口を凌ぐために南東伯でのサトウキビ収穫などに従事した北東伯の労働事情が変化し始めた。この変化を肌で感じているのはサンパウロ州内陸部リオ・ダス・ペドラスなどのサトウキビ生産者組合の依頼で季節労働者を探す人材会社や、食品加工業の人事担当者などだ。
 アラゴアス州やバイア州で2週間宣伝カーを走らせたが、マリンガに移住して働くという人は63人しか契約できなかったのは、パラナ州GTFoodsの人事担当者。現地関係者は「地域でもショッピングセンターが9月に開業、工業団地も新しい職場を提供しているから、中央〜南部の需要に全面的に応えるのは難しい」と判断する。
 干ばつに悩まされている農家は季節労働に来ると踏み、バスで乗り付けた業者も、干ばつで畑が全滅、生活扶助の134レアルでは食べていけないなどの理由で、11月まで月800レアルという条件の季節労働者はセアラ州で14人見つけたのみなど苦労続きだ。
 季節労働経験者も知った会社との契約で収穫が終わったら3カ月帰省、寮完備、食事も作ってくれるといった条件を出してくる。正式雇用の場合も往復旅費やセスタ・バジカ、家賃補助などを求める例が多いという。
 これは、北東伯でも建設や鉱業、商業などが活性化し、地元で働く人が増えてきた事、家族と離れた生活に嫌気が差し、単なる歯車で終わりたくないと思う人が増えた事などを反映している。
 1950年代にイタリア人移住が始まったバイア州イチルスでは、70年代に年5万俵の収穫を誇ったカフェがここ数年の干ばつでダメになったものの、89年建設の加工場、カフェ・トニズィが今も健在。カフェ栽培者は3年前の2千人から200人に激減したが、ミナスやエスピリトサント、バイアから仕入れた豆を加工し、月8トンを販売している。
 サンパウロ州のサトウキビ畑で8年働き、2年前、農園に井戸を掘って始めたマラクジャ栽培で36トンの収穫を得たバイア州ラゴア・レアルのニヴァウド・ジョゼ・デ・アウメイダさんのような例もある。キロ2・70レアルのマラクジャは出稼ぎより割がよく、市の担当者も普及に乗り気だ。
 生活扶助(ボウサ・ファミリア)や農家向けの保険、干ばつ時保障のボウサ・エスチアージェンなど、家族農への支援の充実も人の流れに変化を生じさせ、ラゴア・レアルでは季節労働者として出稼ぎに行く人は30%減少している。